毎週の教職員会議に「スクールロイヤー」参加 現場知る弁護士が法的助言 琉大付中で実践


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スクールロイヤー(写真手前2人)が参加して進められる、毎週の生徒支援委員会=9日、西原町の琉球大学付属中

 学校からの相談に対して法的観点から助言するスクールロイヤー。県内では2020年10月から県立学校で運用を開始。8人のスクールロイヤーが活動している。利用件数は増加傾向だが、制度の活用には学校管理職と県教育委員会の許可が必要で、現場教員とスクールロイヤーの緊密な連携に向けては課題が残る。一方で琉球大学付属中学校では19年度から、毎週の教職員の会議にスクールロイヤーが参加している。教員からは「すぐに直接相談できる」、スクールロイヤーからは「より正確な事実関係が継続的に把握できる」と好評だ。

 琉球大付属中での取り組みは、琉大法科大学院と琉大教職大学院による共同研究実践として進められている。提案者は教職大学院の吉田安規良教授。スクールロイヤーは武田昌則弁護士を中心に4人が学校の会議に参加している。

 学校では毎週火曜、生徒支援委員会を開いている。生徒指導主任や養護教諭、各学年の代表教師、教育相談員らが参加し、そこにスクールロイヤーが加わる。生徒らの懸念事項を共有し、必要に応じてスクールロイヤーに助言を求める。会議後に直接相談する教員もいて、両者の距離は近い。

 比嘉智也校長は「双方が顔見知りのような状態にあり、気軽に相談できる雰囲気がある」と効果を感じている。例えばSNS上での肖像権など、生徒たちを巡る状況に応じた研修や生徒向けの研修を開くこともある。校則の見直しにもスクールロイヤーが関わり、「生徒たちにより分かりやすく、社会や時代に合った内容」とすることを主眼に見直しを進めている。

 武田弁護士は「現場に出入りすることでより詳しい事実や学校の空気感を把握できる」と手応えを話す。ただ県内のスクールロイヤーは人数が限られていることなどから「全く同じ取り組みを全ての県立校でやるのは困難だ。県の制度の見直しをするときの参考例にしてもらえればと思う」と話した。