地下水活用で建物冷却 「クールボイド」国内初 沖縄セルラービル完成


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地下水をくみ上げて内部を冷やす「クールボイド」などの設備を備えた沖縄セルラーフォレストビル=26日、那覇市東町

 都市型のデータセンターを併設した沖縄セルラー電話(菅隆志社長)のスマートビル「沖縄セルラーフォレストビル」が、那覇市東町の国道58号沿いに完成した。26日、完成を祝して玄関前のシーサー除幕式と祝賀会が行われた。2022年1月ごろからテナントの入居が始まる予定という。

 フォレストビルは地上13階建て、延べ床面積は8009平方メートル。2階がシェアオフィス、3~4階がデータセンター、5~12階が貸しオフィスとなる。沖縄セルラー電話が運用する沖縄と九州をつなぐ海底ケーブルとも接続し、大容量のネットワークを提供する。

 建物中央部には、屋上から5階部分まで吹き抜けが設けられている。地下180メートルからくみ上げた地下水を吹き抜け部分に霧状に散布し、気化熱によってオフィス階を冷やす「クールボイド」を整備している。気化熱によるクールボイドは国内で初めてとみられる。

 また、外壁のガラスを二重化して断熱効果を高め、太陽光で集熱して電力を使わずに自動で動く日よけを設置するなど、環境負荷を抑える設計となっている。同規模の通常のビルと比較して、二酸化炭素排出量を半分程度に抑えることを目標としている。免震構造で、水平方向に65センチ動いても構造を維持できる。震度6強の地震が発生しても軽微な被害で済むという。

 菅社長は「ディテールにこだわったビル。活用して、沖縄全体の活性化に貢献していきたい」と話した。