「車いすでも立つおじー」三線の話に引き込まれ 喜屋武研伍(北部報道グループ)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 喜屋武研伍(北部報道グループ)

 今帰仁村を担当して2年目になる。担当なりたての頃の村の印象は「何もない田舎」だったが、地域の取材を重ねると、同じ景色でも目にとまる場所が増えたように感じる。16日には村与那嶺出身の与那嶺直樹さん(60)が、実家の古民家を活用して三線教室を始めた様子を取材した。家の前には樹齢数百年のリュウキュウマツがそびえ立ち、絵画のように幻想的な景色が広がっていた。

与那嶺直樹さん(右端)から三線の指導を受ける子どもたち=今帰仁村与那嶺

 「三線はすごい。車いすのおじー、おばーが立ち上がり、踊り出すんです」。三線の道に進んで40年になる与那嶺さんは声を弾ませ、手ぶり身ぶりを交えてその魅力を語った。今年4月に県庁を退職し、村に戻ってきた。与那嶺さんを知る多くの人たちから「うちの子にも三線を教えて」と強く求められ、教室開催に至った。

 私自身の29年間の人生を振り返ると、伝統芸能に触れた経験はほとんどない。人生を変えた三線の話は、知らないことばかり。たまった業務のことを忘れて話し込み、気づけば日が暮れていた。

 取材終わりに、与那嶺さんから「1カ月だけでもいいので、三線を習って、素晴らしさを知ってほしい」と誘ってもらえた。またちょっとだけ、村の景色に色がつきそうでわくわくしている。

(名護市、本部町、今帰仁村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。