子どもの貧困対策「非認知能力」議論に 「夢や目標やりとげる」「自分に良いところある」 沖縄県有識者会議


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤
新たな子どもの貧困対策計画の骨子案について議論する委員ら=29日、県庁

 沖縄県は29日、2021年度3回目となる「県子どもの貧困対策に関する有識者会議」を開き、来年4月から5年間を期限とする次期貧困対策計画の骨子案を議論した。新指標案に盛り込まれた「将来の夢や目標を持ち、自らやると決めたことをやり遂げる児童生徒の割合」や「『自分には良いところがある』と考えている児童生徒の割合」といった、非認知能力を測る項目は、所得階層ごとに比較できるようにすべきだとの指摘が相次いだ。県は実態調査を通じて所得階層差を調べる方向で検討する。

 非認知能力の設問について、比嘉昌哉沖縄国際大教授が所得階層差を見る必要を提起した。医療を受けられなかった人の割合を盛り込むことを求め、県側は検討する姿勢を示した。

 非認知能力の全国比較について県側は、全国学習状況調査を通じて可能とした。これに対し教育現場を代表する前田比呂也氏は、学習状況調査時の自己肯定感は、その直前に行った学力テストの影響を強く受けるとして「指標として適切ではない」とした。

 子どもの貧困問題に取り組む糸数温子氏は支援員が携わった「支援人数」が指標とされたことで、多様な子どもを受け入れる「居場所につなぐだけが目的になりかねない」と懸念した。支援員は「つなぎ先がないから困っている」として工夫を求めた。

 就労支援に携わる永吉哲三氏は支援員自体の定着率を向上させるよう求めた。

 糸数氏は課題認識の章で、若年層の婚姻の割合や、10代の出産割合、離婚率、母子世帯出現率などの項目があることに「女性特有の課題があるように恣意(しい)的な数値の掲載をしている」と指摘。県側は若年出産の場合、母親の養育力や困窮世帯の割合が高いといった課題があると説明した。離婚率や母子世帯普及率は「夫婦双方の課題であり、女性特有の問題ではない」として理解を求めた。