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【深掘り】米軍事故なぜ青森と格差? 軍独自で判断か、日本政府の動きは


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青森県深浦町の吉田満町長(左)と面会する米軍三沢基地のティモシー・マーフィー副司令官=1日午後、深浦町役場

 米軍機事故を巡り、米軍の地元自治体へ説明する姿勢や、日本政府の米側に対する抗議の姿勢が県内の事案と県外の事案で異なっていることが浮き彫りとなった。宜野湾市の水筒落下も青森県の燃料タンク投棄も落下地点は住宅地で、近隣住民に危険や不安を与えた点に変わりはない。沖縄県の担当者は「米軍は独自に事件事故の重大度を判断し、対応を変えているのではないか」とみる。

 オスプレイの水筒落下事故で、在沖米海兵隊は県の抗議要請での呼び出しを「応じるのは難しい」と拒否した。県側は「ここで綱引きしても時間がかかる」(溜政仁基地対策統括監)と米軍基地まで出向き、同型機飛行停止などを求めた。

 だが、米側は「即応体制維持のために、不必要な運用停止はしない」と飛行停止も拒否した。

 青森でのF16戦闘機の燃料タンク投棄では、米軍三沢基地副司令官が青森県庁や地元町役場などに出向いて謝罪。青森県などによると、米側から来庁して説明したいとの申し出があったという。

 在沖米軍はこれまでも度々県の呼び出しを断ってきた。2017年10月、CH53E大型輸送ヘリが東村高江の牧草地に不時着、炎上した事故で海兵隊は来庁せず、県側が基地に出向いた。18年6月には空軍がF15戦闘機墜落後の県の呼び出しを断っている。

 政府の米側に対する抗議でも差がある。タンク投棄で防衛省は発生翌日の1日、米側にF16の飛行中止と、原因究明のため地元への十分な情報提供を要請した。

 水筒落下では発生3日後の11月26日、橋本尚文外務省沖縄担当大使が県に「(米側から)『全乗組員に装備品の固定について注意喚起した』と説明したと聞いている」と述べ、飛行停止は求めない考えを示した。

 溜統括監は二つの事故を一概に比較はできないとした上で、政府の対応の違いに「国は県や県民の考えを十分理解した上で米軍に抗議や飛行中止(要請)などをしてほしい」と強調した。
 (塚崎昇平、明真南斗)