【識者談話】PFAS1600倍「悪い情報こそ公表、住民守れ」(前泊博盛・沖国大教授)


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 米軍、日本政府、県ともに問題意識が希薄だ。米軍のPFAS汚染に対して水道水供給を止めるなどペナルティーを課す必要がある。県の姿勢も言い訳にすぎず、(3者の合意を経て公表するという)規定自体が非常識だ。公表を避けたり、口裏を合わせたりするための仕組みにしか見えず、規定自体を廃止すべきだ。

 汚染調査は第三者的な視点で司法や環境省が動く必要があり、利害関係者の防衛省は入るべきでない。汚染当事者の米軍が調査に入るという矛盾からも抜け出すべきだ。非公表の姿勢が日米関係や基地の運用に影響を与えることを、米軍司令官は認識してほしい。

 米軍には迅速な公表や調査機関の整備が求められる。国は守るべきは米軍でなく、住民・国民であるということを認識すべきだ。県も県民を守ることを意識し、率先して行動を起こすべきだ。

 都合の悪い情報こそ規定を無視してでも公表して、汚染から住民を守ることを肝に銘じてほしい。市町村も含めて「守るべきは何か」と再確認し、監視・救済体制を整えていくべきだ。
 (安全保障論)