【識者談話】PFAS1600倍「周辺の汚染状況も把握を」(原田浩二・京大准教授)


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 泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物は原液では3%で、1リットル当たり300億ナノグラムに相当する。今回は原液を薄めるための水をためる貯水槽に、パイプから逆流して混入したということだが、元が高濃度なので少し混入するだけでも数万ナノグラムになる。

 このような予想外の汚染は他の設備や施設でも起きている可能性がある。またその汚水が恒常的に流出し、施設内外を汚染していることも念頭に置く必要がある。

 県は6月、周辺河川を検査して基準値内との結果を公表したが、基地から流れ出す排水路から直接採水しなければ、別の汚染源からのものが混じったりする可能性がある。実際、琉球新報と行った調査では、排水路や土壌から国の暫定指針値の3倍を超える有機フッ素化合物が検出された。一般に地下水は、地表面が乾燥すると毛細管現象で自然に地表に吸い上げられるため、地下水を使っていなくても土壌が汚染されている可能性もある。河川だけでなく、基地からの排水路、有機フッ素化合物が残留しやすい土壌や地下水を検査し、周辺の汚染状況を把握する必要がある。
 (環境衛生学)