子どもたちを見守り48年 「ともぶん」文具部門が終了へ 店主「子の笑顔が財産」


社会
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下校時に気軽に店に顔を見せる児童に軽石袋をプレゼントする店主の比嘉典子さん(右)=11月24日、沖縄市山内の文具店「ともぶん」

 【沖縄】「48年間ありがとう」―。隣接する沖縄市立山内小と山内中の裏門のすぐ近くにある「ともぶん」(比嘉典子店主)の文具部門が年内に終了することになった。先月初旬から感謝セールを実施していることを聞きつけた児童、生徒が次々と顔を見せ、惜しむ声が相次いでいる。

 那覇市の平和通り商店街で商売していた比嘉さんは1973年、結婚を機に夫の地元の現在地に「ともだち文具店」を開店。地域唯一の文具店で、陽気な比嘉さんの人柄もあり、たちまち子どもたちに親しまれるにぎやかな店になった。

 その後「ともぶん」の愛称で呼ばれるようになり、数年後には正式な店舗名になった。絵手紙講師の資格も持ち、その鮮やかな色紙や書の額装、子どもたちとの記念写真などが展示され、店内はまるでギャラリーの雰囲気もある。

 一番の思い出は、かつて店を訪れていた児童が親の世代になり「親子2代で店を利用してくれたこと。何よりも登下校時の子どもたちの笑顔に癒やされてきた。心の栄養、財産です」と述懐する。

 最近は、県内の海岸に漂着、さまざまな被害をもたらしている軽石を回収。嫌われものにスポットを当て考えるきっかけにしてほしい、との願いを込めビニール袋に2、3個ずつ詰めて、子どもたちにプレゼントしている。

 文具部門は終了するが、山内中、北谷高校、球陽高校の学生服の指定店としての営業は継続する。

 「親、子どもたちに不便をかけられない。あと10年は子どもたちの笑顔に接することができる。私も元気をもらいたい」と顔をほころばせた。

 (岸本健通信員)