17世紀製作の琉球国絵図を高精密画像で 東大史料編纂所がネットで公開


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沖縄島や周辺諸島を記した「正保琉球国悪鬼納島絵図写」(東京大学史料編纂所所蔵)

 東京大学史料編纂(へんさん)所は、1644年に江戸幕府の指示を受け、1649年までに薩摩藩によって製作された「琉球国絵図」の写し3点の高精密な画像をインターネット上で閲覧できるデジタルアーカイブを3日から公開した。当時の奄美諸島から沖縄島、宮古諸島、八重山諸島までの地図。大型絵図で、展示や閲覧が簡単ではないため公開の方法が長年の課題だった。今回の公開で研究者だけでなく、インターネットを通し誰でも閲覧できる環境が整う。

 公開されたのは、国宝に指定されている「正保琉球国絵図写」(縦3・54メートル×横7・31メートル)、「正保琉球国悪鬼納島絵図写」(縦3・53メートル×横6・21メートル)、「正保琉球国八山島絵図写」(縦3・45メートル×横6・35メートル)。江戸幕府が絵図作成を全国へ命じたことに伴い、薩摩藩の島津氏が製作した。同編纂所によると、琉球を描いた大型絵図としては最も古い。

 当時の地形の描画や詳細な文字情報は以前から注目されてきた。しかし、長さ7メートルを超える部分もある大型絵図は取り扱いが難しく、展示・閲覧する場所も限られるため、公開の方法が長年の課題となっていた。

 新型コロナウイルス禍で歴史史料のデジタル公開の需要が一段と高まったことも受け、取り組んだ。同史料編纂所は昨年、国立歴史民俗博物館の協力を得て絵図をデータ化し、デジタルアーカイブを構築した。

 同史料編纂所の黒嶋敏准教授は「研究者による利用だけでなく、学校教育や一般の利用でも利便性の高い機能がある。地名の検索や現代地図との重ね合わせなどにより、琉球国絵図の研究進展が期待される。誰でも利用可能で、さまざまなシーンでの利用を想定している」と語った。

 こちらから東京大学史料編纂所のデジタルアーカイブにアクセスすることができる。

 (古堅一樹)

宮古諸島や八重山諸島などを記した「正保琉球国八山島絵図写」(東京大学史料編纂所所蔵)
奄美諸島を記した「正保琉球国絵図写」(東京大学史料編纂所所蔵)