サンゴの種類、潜らなくてもわかります 海水からDNA解析 OISTや東大など新技術


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 【恩納】沖縄科学技術大学院大学(OIST)と東京大学、県環境科学センターは共同で、海面の海水に含まれるサンゴのDNA(環境DNA)を解析することにより、その地点に生息するサンゴの種類を識別する技術を開発した。潜水することなく、正確にサンゴの多様性が確認できる。

 従来は、ダイバーが定期的に潜水しサンゴの生育をモニタリングする中で種類を識別してきた。時間と高度な専門知識を要した。

 サンゴの識別は、サンゴが海中に放出した粘液に含まれるわずかなサンゴDNAを採取し増幅して解析する。OISTの西辻光希博士らは、解析に用いるDNAの断片「プライマー」のうち、少なくとも36属のサンゴに共通するDNA配列を持ち、識別に適したプライマーを発見した。配列を基にサンゴを識別する。

 実証実験では恩納村近海の3地点から、それぞれ採取した海水1リットル中のサンゴDNAを、このプライマーで増幅し解析した。その結果、26属のサンゴを確認した。また、1キロ以内の近距離のサンゴ群集でもDNA組成が異なり、多様性があることが分かった。

 発見したプライマーを使った識別の精度は、目視による識別とほとんど差がなく、目視で見落としがちな小さいサンゴも識別できるという。西辻博士は「潜水できない人や専門知識がない人でもサンゴの多様性を知ることができる。より多くのサンゴを識別し、多様性を維持するために改良を重ねたい」と述べた。
 (岩切美穂)