強さとどん底…FC琉球9位で終了、2021シーズンで得たものは


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第27節のブラウブリッツ秋田戦に勝利し、仲間と拳を合わせて喜ぶFC琉球の福井諒司(中央)ら=8月28日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 サッカー明治安田J2の2021シーズンが閉幕した。FC琉球は通算成績を18勝13敗11分けの勝ち点65とし、J2の3季目で、最高となる9位でシーズンを終えた。昨季の14勝20敗8分け(勝ち点50)の16位から順位を上げた。得点数はほぼ変わらないが、失点47と昨季より14点減らし、守備の強度が光った。 (大城三太)

 開幕前、チームを率いて3年目の樋口靖洋監督は「失点は40ぐらいに減らさなければいけない。早い時間帯での失点や連続失点などの悪い癖がある。安定感と強度が必要になる」と具体的目標を掲げていた。失点数は19年がリーグ最悪の80、20年は61だった。21年は47まで減少させたことが順位上昇につながった。

 J1昇格を果たすことになる磐田との開幕戦を白星で飾ってから5連勝と開幕ダッシュに成功し、波に乗った。J1昇格の条件となる2位以内を目指すチームは、全42試合の半分を消化した時点で3位と好位置に付けた。

 しかし、シーズン中盤以降、けが人が続出。メンバーも入れ替わるなか歯車が少しずつ狂い始め、敗戦を重ねた。大きくつまずいたのが9月から10月にかけて。7戦で6敗1分けと白星が遠のいた。ただ、大量失点はほとんどなく、得点を奪えないことが敗戦の主因となっていた。

 結果を受けてチームは樋口氏を解任し、ヘッドコーチの喜名哲裕氏が監督を継いだ。解任後、樋口氏は「発想や変化を生み出しにくくなり、難しい時期が来ると思っていた」と心中を明かした。

 喜名監督は樋口氏が築き上げた、ボールを保持しながら主導権を握り、攻撃的サッカーを展開するスタイルを継承。前監督の吐露した課題の解消を探るかのように積極的に控えを起用し、競争意識を高めることでチーム内の活性化を図った。

 喜名氏の初采配となった10月24日の松本山雅戦で勝利し、以降の7試合で3勝1敗4分けと結果を残した。来季も指揮を執ることが決まっている。喜名氏は7日の感謝の集いで「攻撃的スタイルを貫き、選手を成長させ、魅力的なチームをつくりたい」と決意を述べた。県出身初のJ監督として、県民やサポーターから来季への期待が高まる。