島唄やエイサー「チャンプルー文化」の将来を考える 沖縄市でコミュニティ政策学会


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コミュニティ政策学会の全体シンポジウムで発言する登壇者ら=沖縄市のミュージックタウン音市場

 【沖縄】島唄や踊り、地域のエイサーや「チャンプルー文化」など沖縄の芸能とコミュニティー(地域)に焦点を当てた第20回「コミュニティ政策学会沖縄大会」がこのほど、沖縄市のミュージックタウン音市場で開かれた。コミュニティ政策学会(名和田是彦会長)が主催し、オンラインで配信された。

 沖縄の伝統芸能の基盤となるコミュニティーの課題や将来展望について10人のパネリストが登壇、熱く語った。大学教授や研究者を中心に全国の300人余がオンラインで参加した。

 全体シンポジウムで沖縄国際大学の狩俣恵一名誉教授が「沖縄の地域社会と芸能」と題して基調講演。地域間交流や観光客対象の芸能が増えたことを挙げて「近年の沖縄の芸能は伝統芸能の精神性の継承と、新しい芸能の運営方法を検討することが重要な課題だ」と話した。

 エイサーなどが地域、世代を超えて広がっていることに関連し「従来の神への奉納や祖先供養の芸能とは別に、人と人が交流する芸能が活発だ」と述べた。沖縄の地域社会と芸能の将来を展望するには(1)伝統芸能の継承(2)地域間交流の芸能(3)ショービジネス的な芸能―に分けて検討することが必要だと訴えた。

 パネルディスカッション「芸能とコミュニティ」で登壇した沖縄国際大学の及川高准教授は、岩手県陸前高田市の「動く七夕」を挙げ「コミュニティーを維持する結節点となっている。災害で地縁が機能しなくなった状況で祭礼が人間関係をつなぎ、コミュニティーを生み出す仕掛けとして働いている」と述べた。

 県立芸術大学の久万田晋教授は、1956年に始まった全島エイサーコンクール(現在の沖縄全島エイサーまつり)は「エイサー発展に大きな役割を果たした」と述べた。大阪市港区長で元同市大正区長の筋原章博さんらも登壇した。
 (山川宗司通信員)