北大東議会、自衛隊誘致きょう可決  住民「説明不足」指摘も


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北大東村役場(資料写真)

 自衛隊誘致を検討している沖縄県の北大東村議会(上間正巳議長)が8日に開会した。9日には議員提案で島内への「自衛隊誘致に関する意見書」を全会一致で可決する見込み。住民からは急患搬送や国防の観点から誘致に前向きな声がある一方、村や村議会に説明を求める意見もあった。

 意見書は北大東村は安全保障の地理的観点から自衛隊配置の適地であると訴え、台風などの災害対応や本島への急患搬送の体制を強化できるとした。その上で次期中期防衛計画の作成・立案に、同村の積極的活用を盛り込むことを国に求めている。村議は「外国籍の艦船や戦闘機をレーダーで察知する通信部隊の配備を国に求めたい」と話した。

 村議の構想が膨らむ一方、村や村議会から誘致に関する住民への説明はない。多くの住民がここ数日の新聞報道などで知ったという。

 70代の男性は「説明もないから賛成も反対も何もないよ」と説明不足に不満げな様子だった。

 小学生の子を持つ30代の母親も「島のどこに来るのか、来ることで島がどう変わるのか。説明がないので分からない」と困惑した表情を浮かべた。

 一方、50代女性は「島を守るために必要」と述べた。80代の女性は「普段から急患搬送で自衛隊にはありがたい気持ちがある。防衛にも役立つと思う」と好意的な見解を示した。

 宮城光正村長は意見書可決に向けた動きについて「議会が決めること」としつつ、国防などの観点から「誘致は必要」との考えを改めて示した。「意見書が可決したら、国に配置についての詳細を確認し、関係省庁も交えて住民に丁寧に説明したい」と話した。
 (照屋大哲)