世界初!深海にすむ新種エビの繁殖に成功 沖縄美ら海水族館


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沖縄美ら海水族館が繁殖に成功し、親子で展示されている「シマツノコシオリエビ」 (沖縄美ら海水族館提供)

 【本部】沖縄県本部町の沖縄美ら海水族館は7日、深海に生息する「シマツノコシオリエビ」の繁殖に世界で初めて成功し、親子の展示を開始したと発表した。シマツノコシオリエビは同水族館で10年以上展示していたが、島根大学との共同研究で2019年に新種と判明した。

 今回展示されている親のメスの個体は11年1月、久米島の県海洋深層水研究所の取水口(水深612メートル)からくみ上げられた。採取時は体長は10センチに満たないほどだったが、10年間の長期飼育で17センチまで成長した。

 子どもの個体は21年7月にメスがおなかに抱えていた卵から全長約3・5ミリの幼生としてふ化した。脱皮を繰り返すことで姿・形を変えながら成長。約2カ月、浮遊した後に親と同じ着底生活に移行した。

 ふ化から4カ月後には幼生期の特徴である遊泳器官が退化し、腹部を折り畳んだ姿が特徴的な、親と同じ姿(稚コシオリエビ)に変わった。全長2センチで親と並ぶ姿が沖縄美ら海水族館の「深海の小さな生き物」コーナーで展示されている。

 同水族館魚類課深海展示係技師の中島遥香さんは「深海生物なので、生きている姿を長期にわたって観察するのは飼育でなければ難しい。飼育をしながら新たな発見があれば」と話した。
 (松堂秀樹)