国頭村×与論町 祖国復帰50年で記念誌発行 「歴史伝える1冊に」


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祖国復帰50周年記念事業記念誌について情報交換を行う国頭村と与論町の関係者=11月10日、国頭村役場会議室

 【国頭】2022年4月に祖国復帰50周年記念事業の開催を予定している、国頭村と鹿児島県与論町が、その一環として両町村が連携して進めている「祖国復帰50周年記念事業記念誌」発行に向けた第1回目の情報交換が、11月10日、双方の関係者が出席して国頭村役場会議室で行われた。

 人事交流で国頭村役場から与論町役場商工観光課へ赴任している渡慶次勇樹さん=国頭村辺土名出身=と小高明日香さん(ヨロン島観光協会)が調査のため来村。戦前から国頭村と与論町は資材や家畜などの物々交換をしてきた交易の歴史があると言われている。2人は会議の前に国頭村の関係者と合流し、その歴史をたどる手がかりを探るため、与論町と縁があると思われている国頭村内の集落を訪ね、地域の人々から説明を受け、情報を収集した。

 記念誌は、40周年記念事業の際に、国頭村実行委員会・与論町推進委員会により、2013年3月に発行された。会議では、発行された記念誌の内容などを踏まえ「記念誌の編集を通して、50年の歴史にあらためてしっかりと後世に伝え、受け継がれる1冊として記念誌を考えること」を共通認識として確認された。

 出席者からは「これまでの両町村の交流」「復帰闘争時の証言者の掘り起こし」「当時の海上集会への参加者乗船について、村内からの出航船有無の確認」「国頭村内各集落ごとの50年間の人口の動き」「記録用として、当時の海上集会や行進参加者生き証人へのインタビューの可能性」など、さまざまな視点から多くの意見が交わされた。

 渡慶次さんは「復帰50周年記念事業を通して、沖縄と与論町の昔からの交流を再認識するとともに、今後もいろいろな分野で両町村のさらなる交流を深めていきたいと思う」と話した。

 小高さんは「体験談を語れる人が少なくなっている中、後世に語り継ぐために若者や移住者の方にも分かりやすく読みやすい冊子を作りたい。50年という節目の年、あらためて歴史を振り返り、心に刻みたい」と話した。
 (新城高仁通信員)