エンタメが消えかけた年にHYが考えたこと つなぎ、つながりハッピーに あす「スカイフェス」


社会
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 「HY SKY Fes 2020→2021&前夜祭」(同実行委員会、沖縄県総合運動公園、トラステック主催)が、11、12の両日、沖縄市の県総合運動公園多目的広場で開かれる。HYの4人に今回のフェスや今年1年を振り返ってもらった。(聞き手・田中芳、写真・喜瀨守昭)

(左から)「いろんなものを吸収できた」と話す許田信介 「アートも楽しんでいた」と話す新里英之 「精神的な部分での広がりが大きかった」と話す仲宗根泉 「もっと沖縄をよくしていきたい」と話す名嘉俊

 ―クリーン作戦を展開し、「世界一キレイなフェス」を目指している。ビーチクリーンなどクリーン活動をするに至る経緯や変化は。

 名嘉俊 アルバム「HeartY(ハーティー)」を出した頃から、ビーチクリーンやシーアートフェスなどの活動を取り組んでいる。音楽活動にプラスアルファで、受け継がれてきた自然を次の世代に残していかないといけないと話し始めたタイミングだった。県外からファンの皆さんのほか、子どもたちも夏休みを利用して参加してくれる。続けることに意味があると思う。もっともっと沖縄をよくしていきたいと思った。

 仲宗根泉 前まではごみを拾っている最中に、ポイ捨てする人にいらいらしていることが多かった。ある人に「人が捨てるごみはその人が持っている運だよ。それを拾っているあなたはその人の運をもらっていることだから。あなたに絶対幸せなことが起きるし、これはプラスになる意味なんだよ」と言われてすごく考え方が変わった。本当に自分に幸せが訪れるとかそういうのは分からない。でも拾っている自分の心が全然違うから、それだけでもやっぱりハッピーな人間になっているのかと思った。そういうのも人とのつながりの中でいろんなことを知れたなと思う。

 ―この1年を振り返って。

 名嘉 今年は今までで一番、ドラムをたたいていない。エンターテインメントが消えかけた年だった。音楽以外のことをそれぞれが取り組んだが、いつか必ず音楽につながると思っている。音楽生活の中で振り返ると、この1年はありだったと思えると思う。ばねをぎゅっとしている感じ。来年は全国ツアーが始まる。全国の皆さんを抱きしめに行けたらいいな。

 新里英之 自分は俊とはまた違ってばねが伸びきって、好きなことをやって埋めていった。ライブができなくてもどかしい気持ちがあったが逆に自分の時間に充てることができて、大変だったけど自分にとってはいい時間が過ごせた。アートも楽しんでいた。アルベルト城間さんから声が掛かり、一緒に展示会やらないかとつながった。やってて良かったと思った。

 仲宗根 ツアーがなかった分、娘と一緒に過ごす時間が多かった。土日に家にいるとか、一緒に公園に行くとか、ごく普通のことを娘に経験させられたことはすごく大きかった。母親としてプラスされた感情や発見がある。私はこう見えてメンバーの中で一番人見知り。ここ1、2年は自分一人で仕事をする機会もあって、初めて自分のテリトリーを出て人に触れて見ていた。大人になってから仲良くなる人は10年に2人とかそのくらいのレベルだったのに、今友達しようかなという人が3人いる(笑)。人や娘を通して人間的な意味で成長した感じがする。時間があることで自分自身に気付いて音楽に生かせたり。精神的な部分での広がりが私の中で一番大きかった。

 許田信介 つぶしたとか、伸ばしたとかじゃなくて、ぎゅっとした感じだった。映画を見たり筋トレしたり、料理を作ったりHYで過ごしている時間とは異なる1年で、いろんなものを吸収できた。来年はじけた時は、すごく突っ走っていきたい。


 前夜祭は11日正午にキャンプサイトがオープンし、午後6時半からHYの前夜祭ライブがある。12日午後0時半からアーティストを迎えたステージが開催されるほか、多彩なワークショップがある。チケットなどの詳細はスカイフェスの公式サイトで。プレイガイドはローソン、チケットぴあ、イープラス。問い合わせはピーエムエージェンシー(電話)098(898)1331(平日月~木曜、午前11時~午後2時)。