琉球人の尊厳回復へ 沖縄県内女性らがまぶいぐみぬ会を発足


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しまくとぅばで先住民族としての権利の保障・回復を求める声明文を読み上げる「琉球先住民族まぶいぐみぬ会」の新崎敬子さん=8日、県庁記者クラブ

 沖縄県内在住の女性たちが新たに「琉球先住民族まぶいぐみぬ会」を発足させ、8日、県庁記者クラブで記者会見した。沖縄の人々を「先住民族」と位置づけた国連委員会勧告を巡り、市町村議会の保守系議員らに勧告撤回を求める動きがあることを憂慮し、先住民族としての権利の保障・回復を求める声明を発表。「私たちは琉球人であり、先住民族だ。アイデンティティーは自分自身で決めるもので、それを強要する権限など、議員や議会といえども一切ない」と訴えた。

 国連人種差別撤廃委員会は沖縄の人々を先住民族とし、その権利を保護するよう日本政府にたびたび勧告している。18年には米軍基地の集中を「人種差別」と認め、日本政府に改善を勧告したが、政府は勧告を受け入れていない。

 保守系市町村議員らは勧告の撤回を主張し、県議会に陳情を提出している。

 「まぶいぐみぬ会」は、保守系議員らの動きに危機感を強めた40~70代の沖縄の女性ら8人で今月4日に発足した。

 会見で与那嶺貞子さんは「私は先住民族ウチナーンチュとして誇りと尊厳を持っている。議員らの主張は先住民族への偏見と差別に基づき、自らの出自をおとしめる発言で許せない。民主主義は多数の原理と個人および少数の権利擁護が一対の柱だが、沖縄の民意を無視する日本の民主主義は、その名を借りた数の暴力とさえ思う」と断じた。

 仲村涼子さんは、琉球が言葉や文化を否定され、日本本土から差別を受けてきた歴史を踏まえ「年配の議員はコンプレックスも強いと思うが、それを乗り越えてほしいし、琉球人ということを誇りに思ってほしい。その背中を見せることが自己決定権を取り戻すことだ」と訴えた。

 島袋典子さんは「強権的な男性による『日本人』の押し付けは、琉球人女性への二重のヘイトだ。差別の問題をつくり出しているのは多数派であり、弱者が不利になる制度の撤廃を求めていく」と指摘した。

 照屋幸代さんは「沖縄のヤマト化で『戦争は良いこと』につながっていくのではないかと、とても脅威を感じる」と話した。

 会は今後、明治政府による琉球併合の違法性や、日本の植民地支配の歴史と責任を問い直す勉強会や周知活動を進めていくという。また、賛同者も広く募る。

 (中村万里子、写真も)