世界クラスのライダーを沖縄から 県内初のレースチームを設立 国際ライダー・仲村優佑さん


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鈴鹿サンデーロードレースでバイクを軽快に乗りこなす仲村優佑=7月、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット(仲村祐衣氏提供)

 沖縄市出身で国際ライダーの仲村優佑(28)=沖縄東中、北中城高出=が、沖縄から世界クラスの選手を育てることを目標に第一歩を踏み出した。奈良県出身でメカニックを務める、妻の仲村祐衣さんと共にレーシングチーム「FEEVIL(フィービル)」を4月に沖縄市に設立した。沖縄を拠点にした初のチームで、第一線で活躍できる選手やメカニックの育成を目指す。

 仲村は2014年に21歳でロードレースデビュー、その年のグランドチャンピオンシップで優勝を果たし日本一に輝いた。その後もアジア選手権で上位の成績を残し、2021年は鈴鹿サンデーロードレースJSB1000クラスの第2、3戦で優勝した。今年はコロナ禍で中止となったが、鈴鹿8時間耐久レースの出場権も獲得していた。

 1000ccクラスで最大300キロのスピードを出す。レースは約30分間で心拍数は180~200まで上がるという。「30分間ずっとスクワットしている感じ」と表現する。カーブを曲がるたびに体重移動が必要で「180キロぐらいで曲がることもある」。

国際ライダーの仲村優佑(左)とメカニックの仲村祐衣さん=4月29日、沖縄市倉敷のモータースポーツマルチフィールド(小山泰雅氏提供)

 仲村によると12、13歳からロードに参戦している選手もいるという。仲村が22歳の頃、日本代表として出場したアジア選手権では、15歳の選手もいた。「もっと早い時期から選手を育てていかないと、モータースポーツの業界で生き残るのは厳しいと痛感した」と振り返る。

 父の幸之助さん(52)がバイクや車を販売する東海輪業(沖縄市)を営み、幼い頃から子どもでも乗れるモトクロスに慣れ親しんできた。高校生ライダーの仲村瑛冬(えいと)はいとこにあたる。

 チームは来年、ロードレースの地方選手権に参戦する。2023年には、トップカテゴリーの全日本選手権へ通年のフル参戦を目指す。かつて伊計島のリゾートホテル敷地内あった、ミニバイクコースが仲村の原点で「そこから練習を始めた」と懐かしそうに語る。沖縄ロードレース界の発展に向け「将来を担う若い選手を育てたい」と気概を示した。

 6日には沖縄市役所に桑江朝千夫市長を訪ね、レーシングチーム設立を報告した。沖縄市倉敷に市が整備を進め、4月にオープンした「モータースポーツマルチフィールド」を活用し、競技の普及活動に取り組む予定。仲村は「とにかく資金がかかる競技で企業からの支援が不可欠だ」とスポンサー協力も呼び掛けた。

(大城三太)