失明の難病…「2回目の人生」と奮起 東京パラ競泳銀メダリスト・富田宇宙さんが講演


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オンラインでパラリンピック競泳メダリストの富田宇宙さん(上から3段目左)と交流する参加者ら=10月30日、主催者提供

 「自分の未来を育てよう~自分の『宇宙』を旅しよう~」をテーマに、東京2020パラリンピック競泳銀メダリストの富田宇宙(うちゅう)さん(32)=日本体育大学大学院、熊本県出身=をゲストスピーカーに招いたトークイベント(主催・あはごん保育園、共催・GAJYUMARU)がこのほど、オンラインで開催された。失明に至る難病と告げられた当時の心情や自分との向き合い方、人生の歩みなどがせきららに語られた。

 会を共催するGAJYUMARU(うるま市)の新里勝一郎代表が司会・進行を務め、対談形式で行われた。

 富田さんは宇宙飛行士になるという夢に向かって勉学に励んでいた高2の時に難病を告げられた。夢を断念せざるを得なかった当時の心情について「自分の可能性を一気に失い人生に絶望し、完全に終わったという感覚だった。その時に人生を終わったことにして2回目の人生だと思うようにした」と振り返った。

 パラリンピックを目指したことについて「障がいという強みを生かした生き方を考えていたタイミングで、パラリンピックが自分を生かせる大きなチャンスになると思い挑戦することを決意した」という。「お互いを理解し合わなければいけないよね、ということをパラリンピックで伝えたかった」と語り、言葉を届けるための自分のパワーとして出場でき「自分の生き方としてとても幸せだった」などと述べた。

 今後の活動について、アスリートの枠を超えて宇宙ビジネスも考えているとし「無重力の中で障がいがある人もない人も一緒にスポーツを楽しめてつながれたら多様性というものが地球全体に広がると思う。いろいろな影響を与えられるようにがんばっていきたい」と新たな夢を語った。

 宇宙飛行士になりたいという参加者に富田さんは、「これからは宇宙に行って何ができるかを考える時代。将来宇宙でどんなことをしたいかを考えていくと面白くなる」とエールを送った。
 (中川廣江通信員)