「私宅監置」題材にした映画の上映延期に抗議 監督「歴史に再びふた」


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抗議の会見をする原義和監督(中央)ら=10日、都内の文京区民センター

 【東京】日本復帰前の沖縄で続いた、精神障がい者を隔離する「私宅監置」を伝える映画「夜明け前のうた 消された沖縄の障害者」(原義和監督)の上映が相次いで延期となっていることを受け、原監督らが10日、東京都の文京区民センターで抗議の緊急会見を開いた。

 この映画に映画賞優秀賞を贈った文化庁が、映画に登場する男性の遺族から抗議を受けて、記念上映を延期した。それを機に自治体主催の上映の取りやめが相次いでいるという。

 原監督らは「遺族と対立するつもりはない。国の無策、無責任で遺族らに負わせた傷が今も残っているのが問題の本質だ。国が上映を延期したのは議論の機会などを奪い、人間の尊厳を傷つけた私宅監置の歴史に再びふたをする行為だ。何も反省していない」と抗議した。

 上映中止は今月に入り、沖縄市や東京都小平市などで発生した。原監督は「意見表明の機会もなく、一方的な報告で上映が中止になった。文化庁の方針にならったと思われる。表現の自由への最も厳しい制限だ」と話し、上映中止の撤回や国や自治体が私宅監置の罪責を認めるよう求めた。

 会見には映画配給会社の甲斐秀幸さん、弁護士の池原毅和さんも出席した。
 (斎藤学)