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東京地裁は先月30日、虚偽内容のイラスト【※1】でジャーナリストの伊藤詩織さんの名誉を傷つけたとして、イラストを描いた女性、そしてイラストの投稿をTwitterでリツイートした男性2人に対しても損害賠償の支払いを命じました。
リツイートはTwitterの転送機能です。「拡散」と言い換えることもできます。
名誉を傷つける誹謗中傷の投稿を直接行わなくても、拡散を行うことで同じように責任を問われるということです。
※1 虚偽内容のイラスト … 伊藤詩織さんは、当時テレビ局に勤務していた男性にお酒を飲まされて性暴力を受けたと告白をしました。問題のイラストは、その性暴力の告白が「うそ」であるかのように描かれていました。イラストを描いた女性は「実在の人物とは関係ありません」と注意書きをしていたものの、ほとんどの人が伊藤さんだと分かった上で誹謗中傷を重ねていたため、その言い訳は認められませんでした。
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ネットのデマによって長い間誹謗中傷の被害を受けてている、お笑い芸人のスマイリーキクチさんは、手軽にできるリツイートについても責任が問われる様子を「借金の連帯保証人」と表現しています。
お願いされて軽い気持ちで借金の連帯保証人になったら、自分の所に借金の取り立てが来た。同じように、軽い気持ちで誹謗中傷の投稿を拡散したら、自分が裁判で訴えられるということですね。
SNSをはじめ、日本では「表現の自由」が保障されています。しかしそれは「責任を問われない自由」ではありません。リツイートも表現になりますので、改めて責任感を持って行う必要がありますね。
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今後法改正で、匿名で書き込んだ人の特定がしやすくなる予定です。それによって名誉毀損や侮辱の裁判の数もどんどん増えてくるでしょう。
自分自身のSNSの使い方や言葉遣いが誰かを傷つけていないか、見直してみてください。
【プロフィル】
モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。