沖縄県がデジタル人材の育成を強化 職能開発校にDX特化の学科創設


社会
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沖縄県庁

 県内の人材育成や、職業能力開発の指針となる「県職業能力開発計画」に関し、県は来年3月をめどに策定予定の第11次計画で、デジタル時代の新たなスキルの習得に向けた「リスキリング」(学び直し)の推進を盛り込むことが13日、分かった。県内の職業能力開発校の教育課程に「ITリテラシー」などを取り入れるほか、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に特化した学科の創設も検討する。デジタル分野の人材育成を推進し、生産性向上や競争力の強化を目指す。

 県の職業能力開発計画で、リスキリングの推進を盛り込むのは初めて。県は次年度以降の沖縄振興計画でDXや脱炭素化など、これまでにはなかった新たな成長分野を柱として盛り込む見通し。新分野の労働需要に向けて、中長期的な視点に立った教育プログラムを構築し、提供する必要があると判断した。

 県商工労働部の関係者によると、DXに特化した学科は、県が外部委託で実施している職業能力訓練の一部で創設することを検討しており、次年度以降にニーズ調査などを実施する。県幹部は「デジタル化が進む中で企業が新しい仕事に対応するためには、社会全体で考えなければ遅れていってしまう。(リスキリングを盛り込んだ)計画に基づき、さまざまな事業展開を進めたい」と述べた。

 第11次県職業能力開発計画の素案は、教育訓練のための休暇制度を導入する企業への支援や、職業訓練への費用助成などを盛り込む考え。今月下旬以降にパブリックコメント(意見公募)を実施し、来年3月下旬の策定を目指している。

 デジタル技術で産業に変革をもたらすDXの推進によって人工知能の普及や自動化が進み、多くの人間の仕事が機械へと取って代わる可能性が指摘されている。同時に、デジタル社会で新たに生まれる職業や、仕事の進め方が大きく変わる職業もあり、世界各国も新たな技術を取得する「リスキリング」の重要性に目を向けている。
 (池田哲平)