玉城知事の対立候補、佐喜真氏以外にも複数浮上 参院選と両にらみ…自民の戦略は


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 県内政局の天王山となる県知事選まで残り1年を切る中、玉城デニー知事の対抗馬の擁立を目指す自民の動きが活発化している。12、13日に自民党の遠藤利明選対委員長が来県し、参院選や知事選などの候補者擁立に関して県連や県経済界の幹部らと意見交換した。自民党県連は、来年1月の名護市長選後に選考委員会を発足させ、知事選、参院選の候補者選考作業を進める構えだが、関係者によると水面下での議論はすでに始まっているという。

2022年秋の県知事選の出馬に意欲を示す佐喜真淳前宜野湾市長=14日、宜野湾市

 琉球新報のインタビューで知事選への立候補に意欲を示した佐喜真淳氏について、自民県連関係者は「佐喜真氏の意向は重要視している」と語る。前回知事選で落選後、3年間の「浪人」を経た佐喜真氏への処遇が必要だとの声が県連内で上がっているという。

 知事選の保守系候補の人選を巡り、自ら名乗りを上げた有力者は佐喜真氏が初めてだ。佐喜真氏が出馬意欲を表明したことで、自民党の知事選候補選びは事実上のスタートを切ったといえる。一方で、来夏の参院選と並行して選考作業を進めていく中で、佐喜真氏を参院選の擁立に回す議論が出てくる可能性もある。

 知事選候補を巡り自民内では、岸田政権で沖縄担当相として初入閣を果たした西銘恒三郎衆院議員を推す声が根強くあるほか、松本哲治浦添市長の行政手腕や市長選3期当選の知名度を評価する声も上がる。

 また、県連幹部によると経済界からの擁立も一部で検討されている。オール沖縄から離脱した赤嶺昇県議会議長の名前も一部で浮上するが、県連内の慎重論が強い。

 参院選、知事選を両にらみで選考が進められ、名護市長選の結果も候補者選考を左右しそうだ。実際に誰が候補として選出されるのか。本格的な議論はこれからとなる。

 来年の知事選は、玉城知事の任期満了日である2022年9月29日より前の30日以内に実施されるため、実質は残り9カ月に迫る。玉城知事も近く立候補を表明する見通しで、県内最大の政治決戦に向けた機運は与野党共に、徐々に高まっている。
 (池田哲平)