2022年度からの新たな沖縄振興計画の根拠法となる新法の期限について、自民党が期限を10年から5年とする試案を内閣府に出させ、検討を始めた。自民党側は「議論のたたき台」と強調するが、来年度からの沖縄関係予算の策定作業が大詰めを迎える中で「期間短縮」が突如議論の俎上(そじょう)に上がり、県内からは戸惑いの声も上がる。名護市長選や参院選、県知事選など重要選挙が続く来年の「選挙イヤー」をにらみ、国の関与を強めることで、玉城県政への「揺さぶり」をかけたい与党側の思惑が透ける。
「時代の変化」
「かなり活発に意見を頂いた。意見の多くは延長幅の話だった」。自民党沖縄振興調査会の小渕優子会長は15日、会合の様子をこう語った。
この日は小渕氏のほか調査会の役員を務める議員らが出席した。この場で、党の求めに応じて内閣府が法律の適用期間について、5年とする場合と10年とする場合の論点を示したと明かした。
宮崎政久事務局長によると、議論では「時代の変化に対応するべきだ」「沖縄振興をより強く進めるため」などとして、5年案を支持する議員が「圧倒的に多かった」という。宮崎氏は「(特措法が)5年でなくなるという話ではない」と強調する。
反発と検証
一方、県側にとって「5年案」が同日の振興調査会の場で議論されることは想定していなかった。15日に那覇市内で講演した玉城デニー知事は「期間は3年、5年、という半端な数字ではなく、10年に、しっかりと先を見た計画を立てさせてほしい。その代わり5年たったら大きな見直しをする。3年、あるいは単年度ごとに検証を行っていく」と語った。県は期限を従来通り10年間とするよう政府への働き掛けを強める構えだ。
新たな沖縄振興の法律制定を巡り「5年案」が出てきたのは初めてだ。ある県選出国会議員は「自民党の提言でも、期間についての言及はなかった。期間短縮は県内の反発も予想されるだけに、あえて議論を先延ばしにした側面もあるのではないか」と推測した。
自民党内には現沖縄振興特措法に関して「検証がおざなりだった」との指摘も上がる。5年案は沖縄に対する政府の関与を一層強めていく可能性が高い。
(池田哲平、安里洋輔)