自民党が現行の沖縄振興特別措置法に替わる新たな法制度の期限を10年から5年に短縮する議論を始めた。西銘恒三郎沖縄担当相は本紙の取材に、従来通り期限を10年とする考えを示している。
一方、自民党沖縄振興調査会の出席議員の多くは経済環境の変化などを理由に「5年への短縮」を支持した。結論に至るまでの情勢は流動的だが、法案の策定作業は佳境を迎えており、十分な議論ができる時間はほとんどない。
以前から現行通りの10年延長を求めてきた県側にとって楽観視できる状況でないのは、来年度の税制改正大綱で10年後の廃止が決まった酒税軽減措置を巡る議論の過程を見れば明らかだ。
酒税軽減措置の軽減率を段階的に見直し、ビールを5年後、泡盛を10年後に廃止する原案は、6月の自民党沖縄振興調査会の会合で初めて示された。ビール、泡盛それぞれの業界トップが将来的な「卒業」の意向を示し、廃止への道筋が付いた。
業界との間で同意が得られた酒税のケースとは議論の流れが必ずしも一致しないが、現行制度の10年延長に固執する県側の姿勢に対する批判は党内で根強い。
県出身のある国会議員は「漫然と10年延長するだけでは、それぞれの制度について緊張感を持って効果を検証することができない」と指摘する。
来年度の沖縄関係予算も10年ぶりの3千億円台割れが見込まれ、沖縄振興一括交付金の大幅減額が予想されている。
次代の沖縄振興は大きな岐路に立たされている。
(安里洋輔)