レスリング、沖縄県勢が激突!新王者が誕生 鶴田、仲里を攻め貫き完勝 男子グレコ


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 レスリングの全日本選手権第3日は18日、東京・駒沢体育館で計8階級が行われ、男子グレコローマンスタイル97キロ級決勝で鶴田峻大(沖縄尚学高出、自衛隊体育学校)が仲里優力(北部農林高―日体大)を6―0で下し、初優勝を飾った。同63キロ級の山田義起(浦添工高―日体大出、金沢まいもん寿司)は3位決定戦で矢部和希(栃木県スポーツ協会)に2―3で敗れ、4位だった。


鶴田、攻め貫き完勝 来年アジア大会 上位狙う
 

必死の形相で仲里優力(赤)を抑えに掛かる鶴田峻大(青)=18日、東京都の駒沢体育館(長嶺真輝撮影)

 1点を先行して迎えた第2ピリオド。「相手が攻めてきても、その倍攻めてやる」。強い決意でマットに戻った鶴田峻大が、初対戦で強敵の仲里優力に対し、スタンドでの圧力を一層強めた。パッシブで1点を追加。さらに腹ばいの状態から回されそうになるの耐え、逆に体を入れ替えて上から覆いかぶさり、6―0で完勝した。

 終了のブザーと同時に、両手で豪快にガッツポーズ。「一つでも多くの階級で自衛隊体育学校から優勝者を出し、恩返しがしたかった」と87キロ級から97キロ級に変更した理由を語り、「本当にほっとした」と頬を緩めた。

 10月に87キロ級で出場した自身初の世界選手権から帰国後、1日6食を平らげ、ウエートトレーニング中心の練習メニューに転換。体作りと並行し「グラウンドでの守りを意識した」と課題克服にも注力し、早速結果を出した。

 沖縄尚学高時代の柔道から自衛隊体育学校でレスリングに転向後、約6年半で全日本王者にまで上り詰めた。来年にはアジア大会が控える。「グラウンドの攻防など、詰めないといけない部分はたくさんある。アジアで上位を狙いたい」と視線を世界に向けた。

 (長嶺真輝)


「次は圧倒」弱さ克服、雪辱誓う 準優勝・仲里
 

鶴田峻大(青)に対し、上から攻撃を仕掛ける仲里優力(赤)

 不満とふがいなさが交錯した。「納得いかない」「鶴田さんより自分が弱かった」。試合終了直後、うつむき加減で取材に応える仲里優力は、結果を受け入れられない自分と内面で戦っているようだった。

 前半にパッシブで1点を先行された。後半は同様な形で追い付いて優位に戦う展開を思い描いたが、逆に自身にもう一度パッシブが宣告されて0―2と離され、さらに追加点を許した。「スタンドで負けていない自信があった。回りから見たら分からないけど…」と下を向いた。

 最後は自身に言い聞かせるように「優勝のチャンスを生かし切れないのが自分の弱さ。次当たったら圧倒する」と力強く言った。

 (長嶺真輝)


山田 現役最終戦敗れ涙 63キロ級4位
 

男子グレコローマンスタイル63キロ級準々決勝 背後からがっちりとホールドし、ローリングで得点を奪う山田義起(青)

 11月に急きょ家業を継ぐことが決まったというグレコローマンスタイル63キロ級の山田義起。今大会を最後に現役を退くことになり「切り替えができず、思い通りの練習ができなかった」。得意のローリングの切れが鈍り、結果は4位。高校、大学の先輩である屋比久翔平が特別にセコンドに入った。「支えてくれた家族や監督、翔平さんに優勝を報告したかった」と悔し涙が止まらなかった。

 目標はパリ五輪出場だったが、道半ばで競技人生に幕を引く。高校では一度も全国の舞台に立てなかったが、大学4年時に全日本で優勝するまでに成長を遂げた。「日本一になるまでの過程は今後の人生への自信になる」と最後は胸を張った。

 (長嶺真輝)