要塞化する沖縄「台湾有事」危機をどう見る?戦場化を避けるには 琉球新報シンポ


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台湾有事や自衛隊の南西シフトをテーマにしたシンポジウムのパネル討論会=19日、那覇市の琉球新報ホール

 東アジア共同体研究所琉球・沖縄センターは19日、那覇市の琉球新報ホールでシンポジウム「『南西シフト・台湾有事』戦争前夜の危機に抗(あらが)う」を開催した。軍事ジャーナリストの小西誠氏は中国の台頭を受け、米軍や自衛隊が南西諸島にミサイル部隊の配備計画を進めるなど「沖縄の軍事要塞化」が進んでいると指摘。台湾を巡り米中が衝突すれば「沖縄が真っ先に標的になる」と警鐘を鳴らした。沖縄平和運動センターの山城博治顧問は「沖縄を二度と戦場にさせないための県民の会」の立ち上げを提案した。

 講演した我部政明琉球大名誉教授は、台湾有事の根本は「米中の拮抗(きっこう)する軍事能力だ」と指摘。米国は軍事、経済の両面で国際的な存在感を増す中国へのけん制、中国は台湾統一という政治目標を掲げる一方で、「日本が対立に関わる目的は不明瞭だ」と述べた。

 東アジア共同体研究所理事長の鳩山由紀夫元首相は「中国は台湾を簡単に武力で制圧することはないし米国も簡単に戦争を起こさないはずだ」との見解を示した。その上で、日本政府は経済力の衰えから回復する手段として「台湾有事で危機感をあおり軍事力の強化を進めている」と批判した。

 パネル討議は山城氏、東アジア共同体研究所理事の高野孟氏、前泊博盛沖縄国際大教授、琉球新報の新垣毅報道本部長、沖縄タイムスの福元大輔編集委員が登壇。映画監督の三上智恵氏が司会を務めた。辺野古新基地建設や自衛隊配備に関する考えの相違が複雑に絡むことから「オール沖縄」の今後の在り方や、活動理念を再検証する必要性を説く意見が上がった。
 (当銘千絵、写真も)