「沖縄ヘイトスピーチ」なぜ対象外? 県条例構成案 街宣抗議の市民ら不安視


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那覇市役所前のヘイトスピーチに抗議する沖縄カウンターズの旗

 沖縄県が20日に示したヘイトスピーチ規制条例構成案は、規制する「差別的言動」を外国人に向けられる発言に限定した。これに対し、那覇市役所前のヘイトスピーチ(憎悪表現)街宣に抗議してきた「沖縄カウンターズ」のメンバーは疑問を投げ掛ける。「かつて年配の方々が差別された実体験がある沖縄だからこそ、厳しい条例をつくらなければいけない」と、さらなる議論を求めた。

 構成案では県民に向けられるもののほか、宗教、性的指向などの少数者に対する差別的言動は対象外となった。

 これに対し「沖縄カウンターズ」メンバーの40代女性は、東村高江で県外の機動隊員による「土人発言」があったことやネット上で沖縄に向けられる差別表現に触れ「多くの子どもたちも既に目にしている。傷ついたり自己肯定感や沖縄県民である自信をなくしたり、あらゆる影響を起こす」と条例で対応する必要性を訴えた。

 条例の実効性も課題だ。川崎市は命令に従わなかった場合には50万円の罰金を規定している。一方、県の構成案は氏名公表やインターネット上の記述の削除依頼などの「差別的言動を抑制する措置」にとどまる。あらかじめ審査会の意見を聞く必要もあり、緊急対応も難しい。

 女性は、那覇市役所前などでヘイトスピーチを繰り返した人物について、ネット上で氏名を出して活動していると指摘し「(行政が公表しても)全く抑止にならない」と不安視した。

 県は委員会の公開を想定していたが、構成案に対する意見を述べる場は委員の意向で非公開となった。カウンターズの40代男性は検討委の立ち上げは評価しつつ「構成案はこれからも肉付けされるという希望をもって見守る」と話した。
 (知念征尚)