【識者談話】沖縄関係予算 県の「自主性の尊重」排除狙う政府 宮城和宏・沖国大教授


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宮城 和宏沖国大教授

 政府の2022年度予算は県裁量が強い一括交付金を大幅減額する一方、政府が県を通さず直接市町村に補助する「沖縄振興特定事業推進費」(推進費)の予算額は維持した。沖縄振興特別措置法で規定される県の「自主性の尊重」を排除していく狙いがある。

 国は内閣府の沖縄振興の総点検結果を引き合いに、一括交付金事業のいくつかで成果が低かったと減額の理由を説明するが、課題は他制度にもある。例えば推進費は一括交付金とは違い、事前の事業計画の提出は不要で、事業の成果目標の達成状況は公表義務もない。制度の透明性が欠けている。

 国側は一括交付金の課題は挙げてくるが、政府裁量で市町村に予算配分ができる制度の北部振興事業や沖縄離島活性化推進事業などの課題はあまり挙げない。県裁量が強い一括交付金ばかり狙い撃ちしている感がある。

 これからも一括交付金の予算を減額し、将来的には制度を形骸化させ、沖縄の自主性を減らしていこうという政治的な意図が透けて見える。
 (経済学)