通販で買ってハンマーで叩いて…オスプレイから落下した水筒を再現 平和ガイドがオブジェを制作した理由


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
仲村真さんが制作した水筒のオブジェ。米軍オスプレイから落下した水筒を実物大で再現した=16日、宜野湾市の沖縄国際大学

 【宜野湾】米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、宜野湾市野嵩の民家敷地内へステンレス製の水筒を落下させた事故から、23日で1カ月を迎えた。ボランティアの平和ガイドとして活動する、浦添市在住の仲村真さん(66)はこのほど、落下した水筒のオブジェを制作した。「どんな事故も忘れてはいけない」。作品を通して、事故の記憶を継承する大切さを訴えている。

 オブジェの水筒は容量1.9リットルで縦25センチ、直径14センチ、重さ700グラム。落下した水筒とほぼ同じ大きさだ。公開された1枚の写真と報道を基に、同じ大きさのステンレス製の水筒を探し回り、オンライン通販で購入した。届いた水筒を手にした時は驚いた。「人に当たらなくて運が良かった」。ずっしりと重く、事故の衝撃が目に浮かび上がった。

 水筒を破損した状態を再現することに苦労した。ハンマーで水筒をたたいて楕円(だえん)形にし、底が割れた状態をつくったが、かなりの力と時間を要した。落下物に貼られていた、普天間飛行場の駐屯飛行隊のステッカーは、インターネットから画像を印刷して貼り付けた。

 仲村さんはこれまで、普天間第二小学校に落下した米軍機の窓枠や、緑ヶ丘保育園に落下した米軍機の部品など落下物のオブジェを制作し、作品を通して事故を語り継いできた。

 水筒落下から1カ月が経過するが、仲村さんは多くの人が事故を忘れていると指摘する。「宮森小や沖国大への墜落事故など大きな事故は忘れられないが、今回のようなケアレスミスは忘れ去られていく」とし、どんな事故も反省し振り返らなければ、大きな事故につながると強調する。「米兵にこそ、この作品を見てほしい」と、作品に込めた思いを語った。

 オブジェは16日、沖縄国際大学の沖縄経済環境研究所に寄贈された。友知政樹教授は「実物大を見てサイズを知ると、事故の恐ろしさが伝わる。目を背けてはいけない作品だ。学生を始め、見る人は真剣に考えてほしい」と話した。作品の展示については年度明けに調整が行われる予定。
 (石井恵理菜、写真も)