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20年ぶり県記録 陸上800m仲井真タイ剣人 荒削りの魅力、母校北山の活躍も力<ブレークスルー>


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練習でトラックを駆ける仲井真タイ剣人=20日、神奈川県横浜市の関東学院大学

 陸上男子800メートルの仲井真タイ剣人(20)=国頭中―北山高―関東学院大2年=が、着実に力を伸ばしている。182センチの高身長を生かした大きなストライドに加え、1年時の冬季から今春にかけて持久力とスピードを養った。今年6月に1分51秒64を出して県記録を20年ぶりに更新。際立った活躍を見せる北山高駅伝部の後輩たちからも「刺激を受ける」という。狙うは1分40秒台だ。

 バスケットボールをやっていたが、中学3年時に村の地区陸上800メートルで1位になり、北山高駅伝部の大城昭子監督に誘われて陸上に転向した。高校1年まで身長が伸び「成長期の影響で貧血になりやすかった」という。安定した練習ができ始めた高校2年から本格的に800メートル用のメニューを取り入れ、タイムが1分台に突入した。3年時には主将として都大路に挑み、2区を区間43位(58人中)の8分42秒で駆けて北山の30年ぶり県記録更新の一翼を担った。

■ずばぬけた身体能力

 昨春の大学入学後は新型コロナウイルス禍による部活停止で満足な練習ができない時期もあった。冬季に短い間隔で補強、筋力トレーニングを行う「サーキットトレーニング」や坂道ダッシュで体をつくった。春からは短距離練習に加えて大会で400メートルにも出場し、スピードを磨いた。

 迎えた6月6日のデンカチャレンジ杯。格上の一般選手も多く参加する大会で「とにかくついていった」と引っ張られ、それまでの自己ベストを2秒近く更新した。「いつか県記録は出せると思っていたけど、一気に51秒台にいくとは」と自身も驚くタイムだった。

 日本選手権の女子800メートルを2連覇した経験を持つ岸川朱里コーチは、仲井真について「荒削りだけど、身長を生かしたダイナミックな走りが魅力。バネがあり、身体能力はずばぬけている」と伸びしろを見詰める。一方、800メートルは他選手との駆け引きも重要になることから「まだ経験不足。他の選手のリズムと合わせながら、自分の走りができるようになる必要がある」と成長を促す。

■後輩から刺激

 仲井真にとって、北山高の後輩の活躍も発奮材料だ。各種目で次々と県高校記録を更新する上原琉翔や嘉数純平、主将の宮里洸など現在の3年生は2年前、共に都大路を走り、当時から仲が良い。宮里とは今でも頻繁に連絡を取り「テレビ電話で練習方法の情報交換をしている」という。「昭子先生が新しい練習も取り入れてタイムが伸びてる。刺激になるし誇らしい」と頬を緩める。

 自身の次の目標は「3年の間に最低でも1分40秒台を出すこと」。課題は持久力とスピードの両方。「強い選手は最初の400メートルが速いので、そこに突っ込めるスピードが必要だ。ラスト100メートルでの減速も抑えたい」と強化の道筋を描く。現在は来季に向け冬季練習中。将来的には「日本選手権出場が目標。そのためには1分48秒を切る必要がある」と国内最高峰を目指す。

 (長嶺真輝・写真も)