暴言や体罰など部活巡る問題浮き彫り 高2生徒指導死<沖縄この1年2021>


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コザ高男子生徒の自死を受けた会見で謝罪する金城弘昌県教育長(左から3人目)、コザ高校の東盛敬校長(当時、右端)ら=3月19日、那覇市の県教育庁

 1月末、コザ高2年(当時)の運動部主将を務める男子生徒が顧問からの執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受けて自ら命を絶った。県教育委員会は3月に会見を開き謝罪、7月に顧問を懲戒免職にした。年明けには、遺族らが求め続けていた再調査が始まる。男子生徒の自死を受けて実施された部活動実態調査では指導する側とされる側の認識のずれが明らかになり、部活動を巡る問題の根深さが浮き彫りになった。

 顧問は男性生徒に対して「キャプテンを辞めろ」など精神的負担を与える言葉を繰り返していた。男子生徒の携帯電話には通話アプリLINE(ライン)のやりとりが残っていて、顧問から夜間に何度も着信があった。荒い言葉のメッセージもあった。顧問は別の生徒にも不適切な指導をしていた。

 遺族は7月、県議会文教厚生委員会に出席。公的な場で初めて証言した。調査記録に男子生徒が亡くなる当日の行動記録がないことなどを指摘。県教委と切り離した第三者の再調査を涙ながらに何度も訴えた。

 県教委は同月、「不適切な指導が継続的に繰り返され、精神的負担が累積した結果自死した」と判断し、顧問を懲戒免職処分にした。8月末、県は知事部局に第三者調査委を設置することを決定。22年1月に第1回会合が開催される予定。

 高校生対象の部活動実態調査の結果が公表された。回答した部員の2%(133人)が体罰・ハラスメントを受けたと回答。約2割は指導者との信頼関係を「あまり感じない」「全く感じない」と答えたが、県教委は「全体として良好な部活動指導が行われている」と結論付けた。

 男子生徒の自死は、部活動を巡って山積している問題の根深さを改めて浮き彫りにした。「二度と同じことを起こさないように」と見直された結果は今後現場で試される。「学校現場だけで解決できる問題ではない」とする関係者の声も大きく、地域や社会全体の関与も部活動改革の鍵を握る。

 (嘉数陽)