32軍壕の整備「首里城再建の2026年にも」検討委員ら要望 沖縄県「27年度以降」案を提示


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第32軍壕周辺の地形を調べるため、離陸するドローン=9月22日、那覇市首里大中町の中城御殿跡

 沖縄県は27日、首里城地下の日本軍第32軍司令部壕保存・公開検討委員会の第4回会合を那覇市の自治研修所で開いた。前回までの意見を踏まえ、県は優先して未試掘の第1坑道の調査に取り組む方針を明示し、調査スケジュール案を提出した。

 調査を踏まえ、保存・公開場所を決定する基本構想を策定。整備を27年度以降とする案を示した。委員からは、26年度に首里城正殿が完成することから、案を見直し、公開時期の前倒しを求める意見が相次いだ。

 県が示したスケジュール案は、未試掘の第1坑道は22~23年の半ばごろまでに磁気探査などで位置が特定できれば、26年度末までに試掘調査を実施。この間、第2・3坑道と第5坑道は最新デジタル技術による内部の公開を行う。第1坑道調査を踏まえ、基本計画や整備計画を策定し、整備する。

 沖縄戦研究の吉浜忍氏は「首里城と一緒に公開してほしいと県民は望んでいる。再検討してほしい」と前倒しを求めた。戦跡文化財が専門の大城和喜氏は「できるところから公開し、徐々に(範囲を)拡大してほしい」と指摘した。情報技術の永井義人氏は「首里城完成で国内や世界から注目が集まる。それと連動させ、26年に成果物を示してはどうか」と提言した。

 早めに公開できる場所として、応用地質学の佐々木靖人氏は第5坑道を挙げた。また、文化財指定に関し、保存する場所と公開場所を分けている県の考えについて、大城氏は「文化財にしたところも公開はできる。公開と文化財を分けるのは良くない」と指摘した。

 このほか、県が本年度、日本工営に委託した基礎調査の中間報告があり、第2・3坑道と第5坑道は入坑可能な状態であるが、1993~94年度の試掘調査で設置された迂回(うかい)坑道は崩落が生じており、第2・3坑道は大雨の後で水がたまった状態が続いたことなどが報告された。

 (中村万里子)