【詳報】コロナ対策は?子育てや教育政策どう取り組む?<名護市長選立候補予定者座談会2>


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座談会に臨む名護市長選挙立候補予定の渡具知武豊氏(左)と岸本洋平氏=26日、琉球新報北部支社

 【名護】2022年1月16日告示、同23日投開票の名護市長選に向けて、琉球新報社が26日夜に開いた立候補予定者座談会では、立候補を表明している現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=と新人の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=が選挙戦に向け政策を訴えた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題について両氏のスタンスの違いが改めて浮き彫りになった。目指すまちづくりや新型コロナウイルス対策などを巡りそれぞれの考えを力強く訴え、論戦を展開した。座談会での発言を紹介する。(文中敬称略)(’22名護市長選取材班)

 


地域振興

交通網整備で活性化 渡具知氏
労働者所得向上図る 岸本氏

―地域振興の政策は。

 渡具知 各地区の特色を生かし均衡ある発展を進めねばならない。羽地の駅、わんさか大浦パークなどの機能・連携強化、愛楽園の将来構想を実現する学校の誘致、久辺3区の多目的広場整備などを進めたい。バス路線の再編やコミュニティーバスの導入を、中心市街地の再開発と併せて実現したい。国、県と連携して、鉄軌道の導入を見据えた相互交通ターミナルの整備を実現したい。北部テーマパークや観光地へのアクセス向上のため、名護東道路の延伸も着実に実現したい。

 岸本 地元の皆さん、企業と話し合い、振興の形をつくる。地域の中で物事が循環する、そのことをしっかりつくっていきたい。地元企業の優先活用と適正価格発注で労働者所得の向上を図る。6次産業化を推進して製品化、流通ルート、販売戦略まで一緒に取り組む。やんばるの森が世界自然遺産に登録されたこともあり、玄関口となる名護十字路の商店街を一体的に整備し交通のアクセス拠点を設ける。鉄軌道も整備したい。市役所内にそうしたことを推進する課を設置したい。


福祉・教育

保育園づくりを支援 岸本氏
女性の働く環境整備 渡具知氏

―福祉や子育て、教育政策について。

 岸本 幼児から大学生までトータルでサポートする「子ども太陽基金」を設置し、保育士の処遇改善などをする。(子ども医療費などの)無償化事業にも充てていく。待機児童の原因は保育士不足だ。魅力ある保育園づくりを支援する。保護者が働きに出て収入を得て、それを子どもや家庭に使うといった好循環を生み出すことが大事だ。子どもの貧困にもしっかりと対応していく。地域に子どもから高齢者まで集える拠点をつくり、一緒になって福祉政策に取り組んでいく。

 渡具知 女性の働く環境を整えることが重要だ。妊娠、出産などに関するサポートを実施しプライバシーを確保した施設を整備する。高齢者の生きがい、健康づくりの場となる施設も整備する。障がい者の雇用促進や公共施設のバリアフリー化も進めたい。保育士の処遇を改善し待機児童ゼロを目指す。21世紀の森公園に大型遊具を整備し、子育てしやすいまちづくりを実現したい。学校業務を支援するシステムを導入し、先生たちの負担を軽減し、教育の質の向上に取り組む。


コロナ対策

無料検査体制構築 岸本氏
コロナ対策室新設 渡具知氏

―新型コロナウイルス対策について聞きたい。

 岸本 国の制度で支援が行き届かない方に独自支援することが求められる。エッセンシャルワーカーへの支援策を講じる。いつでも無料でPCR検査が受けられる体制を県と構築する。介護事業者に感染防止費用を給付し、教育現場に専任のコロナ対策スタッフ、保育所に看護師を早急に配置する。米軍関係者の感染拡大に不安もあるので対応していく。

 渡具知 これまで市独自の商品券配布などの支援策を実施してきた。ワクチン接種にも積極的に取り組み、接種率は7割を超えた。その実績と経験を生かし、気を抜くことなく対策を強化したい。「コロナ対策室」を新設し、関係機関との連携を取る。3回目接種に向けた準備や、感染拡大でダメージを受けた企業や離職者のサポートにも迅速に取り組む。


訴えたいこと

子育て支援施設整備 渡具知氏

 子育て無償化3点セットやゴミ袋の半額化など公約の約8割を実現、および着手中だ。北部地域でも高度医療を受けられる体制や、不妊治療の支援、妊娠、出産、子育て支援施設整備など女性が働きやすい名護市をつくっていく。スポーツパークの整備なども実現したい。1期目同様、公約を着実に実現し、もっと輝く、豊かな名護市の実現を有権者に約束したい。

50年先見据えた街に 岸本氏

 私はラグビーをしていたが、その根性とノーサイドの精神で市民の心を一つにまちづくりに取り組む。復帰から来年で50年。これから50年先の新たなビジョンを掲げたまちづくりをする。市民にとって最適で快適で、最も恵まれた環境のためには、新基地はいらない。基地に我慢しなくても、まちづくりはできる。市民と一体となって取り組んでいく。


<出席者>

 渡具知武豊氏(60)=無所属現職、自民、公明推薦
 岸本洋平氏(49)=無所属新人、共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦
 司会 松堂秀樹(琉球新報社北部報道グループ長)


渡具知武豊氏

 とぐち・たけとよ 1961年8月12日生まれ。市許田出身。第一経済大(現・日本経済大)卒。市議5期を経て、2018年から現職。

岸本洋平氏

 きしもと・ようへい 1972年12月19日生まれ。市宇茂佐出身。早稲田大大学院修了。2006年に市議初当選し現在4期目。