「里親の委託を一方的に解除」差し止め請求を却下、那覇地裁が提訴即日の異例判決 弁護側「子の福祉考えて」


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那覇地裁

 生後2カ月から養育している子ども(5)の里親委託を児童相談所が一方的に解除するのは、里子の心の平穏や健全な成長を無視した不当な対応だとして、本島在住の50代夫妻が28日、県を相手取り、解除の差し止めを求めて那覇地裁に提訴した。地裁(福渡裕貴裁判長)は同日、「委託措置解除は訴訟の対象となる処分に当たらず、原告適格もない」などとし、訴えを却下した。提訴した当日に裁判所が判決を下すのは異例。

 里親委託は親権者の同意がなければ続けられない。委託解除は来年1月5日付で、前日の4日に引き渡さなくてはいけないという。里親側代理人の川津知大弁護士は、子どもの引き渡しの差し止めを求め、新たに訴訟を起こす考えを示した。

 里親側は提訴と同時に差し止めを求める仮処分も申請したが、地裁は申し立てもその日に却下した。川津弁護士は「十分な審理をせずに入り口で切るのは、裁判所も子どもの福祉を考えていない表れで、考え難い対応だ」と批判した。里親側は控訴する方針。仮処分の決定についても抗告する。

 訴状などによると、里子は5年以上、原告である里親の下で育っている。発達障がいがあり、医師の助言もあって、実親ではないと知らせる「真実告知」をしていない。児相は12月、県外に暮らす実母の意向を踏まえ委託を解除し、一時保護すると里親側に通告した。