在宅起訴の宮城さん「自然遺産の現状を変えたい」 米軍廃棄物に告発続ける


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見つけた銃弾などを手に説明をする宮城秋乃さん=7月、国頭村

 【北部】28日に威力業務妨害などの罪で在宅起訴された宮城秋乃さん(43)は、米軍北部訓練場返還地で見つかる米軍由来とみられる廃棄物問題を告発してきた。やんばるの生態系への影響を懸念し、同訓練場前の抗議活動を一人で続ける。部分返還から5年が経過し、返還地の一部は今年7月に世界自然遺産の登録地になったが、弾薬類や野戦食の袋などの廃棄物が大量に残されたままだ。

 日米地位協定で米国は返還地の原状回復義務を負っていない。沖縄防衛局は2017年の北部訓練場の一部返還地引き渡し前に、汚染物質の除去などの支障除去措置を実施。引き渡し後も回収作業を続けている。これまで大型鉄板261枚、約1.5トン、空包類約1万5千発、コンクリートくずなど大量の廃棄物を回収した。除去や処分などこれまでにかかった費用は5億5千万円になるという。

 一方、宮城さんは「防衛局の調査・回収は限定的だ。今もたくさんの廃棄物が落ちている」と指摘する。弾薬などを見つけると警察に連絡していたが、当初は回収していた警察も19年10月ごろから取り合わなくなったという。県警は「関係機関に必要な連絡を取るなど所要の措置を講じている」としているが、回収する基準の有無などは示していない。沖縄防衛局は「廃棄物を発見した場合は沖縄森林管理署か防衛局に連絡してほしい」としている。

 「現状を変えたい」との思いで、宮城さんは書類送検後も訓練場ゲート前に米軍廃棄物を置く抗議活動を続けている。「とにかく自然遺産の現状を見てほしい。私が置いたごみはどこから来ているのか裁判で明らかにしたい」と力を込めた。
 (長嶺晃太朗)