「オール沖縄」と自公、衆院4選挙区分け合い「選挙イヤー」突入へ<県政この1年>


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 2021年の沖縄県政は昨年に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対応に追われた1年だった。4カ月間の長期に及んだ緊急事態宣言によって社会・経済活動は冷え込み、県は事業者支援に奔走した。沖縄・奄美の世界自然遺産登録、東京五輪での県勢活躍など、明るい話題もあったが、10月上旬以降は、小笠原諸島の海底火山噴火の影響とみられる大量の軽石が県内各地に漂着。米軍の事件・事故も相次ぎ、県として危機管理が問われ続けた。政府は次年度の沖縄関係予算を前年度比326億円減の2684億円と決定。辺野古新基地問題を巡り、県と裁判闘争が続く中、玉城県政への「冷遇」との観測も広がる。激動の1年を振り返り、沖縄の日本復帰50年を迎える22年を展望する。
 (池田哲平、梅田正覚、明真南斗、塚崎昇平)

<県内政局>衆院4選挙区 分け合う

 2021年は1月の宮古島市長選挙を皮切りに2月の浦添市長選、4月のうるま市長選と、首長選挙が相次いだ。10月31日投開票の衆院選は、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力と、自民が沖縄の4選挙区全てに候補者を擁立。激しく競り合った結果、オール沖縄2勝、自民2勝で議席を分け合った。22年は1月の名護市長選をはじめとした首長選挙や参院選が相次ぎ、両勢力が「天王山」と位置付ける知事選が控えており、県内政局が激しく動く年となりそうだ。

 10月の衆院選はオール沖縄勢力は1区で赤嶺政賢氏(共産)、2区で新垣邦男氏(社民)が当選。自民公認候補は3区で島尻安伊子氏、4区で西銘恒三郎氏が当選した。議席は分け合ったものの、14年に故・翁長雄志知事の下でオール沖縄が結集して以降初めて、全県の得票数で自民がオール沖縄を上回った。県政与党は立て直しが急務となっている。

 22年1月には名護市長選が控え、自公推薦の現職の渡具知武豊氏(60)、オール沖縄勢力が支援する新人で市議の岸本洋平氏(49)が立候補を表明。街頭演説を開くなど、前哨戦を展開している。

<米軍事件・事故>落下、不時着相次ぐ/基地から高濃度PFAS

 今年も米軍基地に関連する事件・事故が相次いだ。特に普天間飛行場所属機の不時着や部品落下事故が多かった。6月には普天間飛行場所属のUH1Yヘリがうるま市津堅島の畑に不時着した。同飛行場所属の別のヘリが宮崎県に不時着した。

 7月にCH53E大型輸送ヘリが渡名喜村近くの海に鉄製コンテナを落下させた。8月にはMV22オスプレイがパネルを落とし、11月には宜野湾市の民家敷地内へオスプレイから水筒が落下した。

 伊江島補助飛行場でパラシュート訓練中に誤って民間地に降下する事故や、嘉手納基地所属F15戦闘機による訓練用フレア誤射もあった。

 基地に関係する環境汚染も絶えなかった。6月にうるま市の米陸軍貯油施設金武湾第3タンクファームで有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む水が流出した。

 8月には、事故でなく海兵隊が意図的に普天間飛行場からPFAS汚染水を下水道に流した。宜野湾市が採水して分析すると、PFOS(ピーフォス)・PFOA(ピーフォア)が合計で日本の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)の13倍に当たる同670ナノグラム検出された。

 自衛隊施設からもPFASを含む泡消火剤が流出・飛散した。自衛隊はPFOSを含まないと説明したが、本紙の調査で国の暫定指針値を超えるPFOSが含まれていたことが発覚した。