2021年の沖縄県政は昨年に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対応に追われた1年だった。4カ月間の長期に及んだ緊急事態宣言によって社会・経済活動は冷え込み、県は事業者支援に奔走した。沖縄・奄美の世界自然遺産登録、東京五輪での県勢活躍など、明るい話題もあったが、10月上旬以降は、小笠原諸島の海底火山噴火の影響とみられる大量の軽石が県内各地に漂着。米軍の事件・事故も相次ぎ、県として危機管理が問われ続けた。政府は次年度の沖縄関係予算を前年度比326億円減の2684億円と決定。辺野古新基地問題を巡り、県と裁判闘争が続く中、玉城県政への「冷遇」との観測も広がる。激動の1年を振り返り、沖縄の日本復帰50年を迎える22年を展望する。
(池田哲平、梅田正覚、明真南斗、塚崎昇平)
登録延期やコロナ禍などが重なった沖縄・奄美の世界自然遺産登録は7月26日、正式に決定した。世界的に貴重な生物多様性が評価され、国内では5カ所目の自然遺産登録となった。沖縄県と鹿児島県はインターネットで国連教育科学文化機関(ユネスコ)の決定の瞬間を見守り、玉城デニー知事らが喜びを分かち合った。新型コロナ収束後は観光客の増加なども見込まれており、県は環境保全策などを進めていく考えだ。
10月以降、小笠原諸島の海底火山噴火で生じたとみられる大量の軽石が県内各地に流れ着いた。今月16日時点で、県内38市町村への漂着が確認されており、フェリーの欠航など住民生活への影響や漁業や観光業などにも大きな被害を与えた。
県は環境部を中心に「軽石問題対策会議」を立ち上げ、全庁的な情報の共有と対策の強化を図っている。漂着した軽石は港湾内や市町村有地などに保管されているが、大量の軽石の処理が今後の大きな課題となる。県は軽石の利活用法を県民から募集し、45団体から88のアイデアが集まっており、官民挙げた対応が徐々に進んでいる。