子育て・教育、渡具知氏は女性の支援策構築、岸本氏は子ども基金を創設 <争点を洗う・名護市長選>中


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名護市(資料写真)

 少子高齢化が進む名護市では、教育や子育て支援施策も来年1月の市長選の大きな争点だ。2期目を目指す現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=と、新人で市議の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=はそれぞれの政策を訴える。

 名護市の総人口は1980年から2020年までの40年間で、約4万6千人から約6万3千人に増えた。一方で、15歳未満の人口は1万3504人から1万544人に減少している。

 市の総人口に占める年齢別の割合を見ると、少子高齢化の進展は顕著だ。1980年は15歳未満が29.4%、65歳以上9.8%だったが、2020年は15歳未満が16.6%、65歳以上は22.3%に上る。市の持続的な発展に向けて少子化を防ぐことは急務であり、市民にとっても育児や教育環境の充実は大きな関心事だ。

 現市政は4年前から保育料、給食費、こども医療費を無償化した。一方、待機児童数は増加傾向にある。市によると、国基準で18年4月時点で1人だった待機児童数は20年に82人、21年は65人だった。

 市は「保護者負担が軽減されたことで潜在的な保育ニーズが掘り起こされたことが要因の一つ」などと説明する。待機児童の解消には、渡具知、岸本両氏とも保育士の処遇改善が必要だと一致する。

 渡具知氏は1期目で実現した無償化の継続を前面に打ち出す。関連施策に、(1)給付型奨学金制度の拡充(2)学校業務支援システムの導入による教職員の負担軽減(3)大型遊具整備―などを掲げる。

 また、子育て支援と女性の就労支援をセットに掲げる。「女性の働く環境をいかに整備するかが重要だ」と述べ、妊娠、出産、子育てのサポートを実施する施設整備なども掲げ、共働き世帯へのバックアップを訴える。

 岸本氏も無償化の継続を訴える。幼児から大学生までをトータルでサポートする「子ども太陽基金」を創設し、基金から無償化などの財源を捻出する方針だ。

 (1)子育て交流拠点「小さな図書館」を地域に設置(2)有機食材を使った学校給食の提供(3)保育環境の改善―なども掲げる。待機児童問題などを念頭に「保護者が働いて収入を得て、それを子どもや家庭に使う好循環を生み出したい」と強調する。
 (’22名護市長選取材班)


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