分散登校や学校PCR…コロナ拡大で混乱の2021年の教育現場 感染防止と学びの場の確保に腐心


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 昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症は2021年も社会を混乱に陥れた。子どもたちは感染予防のために交流を制限され、学校に登校できても「黙食」や「黙動」を強いられるなど学校から活気がなくなった。教育行政は感染防止と学びの保障を両立させようと「GIGAスクール構想」の推進を図るなど腐心したが、その一方で子どもの患者は急増。地域によって感染状況も異なることから、県と市町村で登校の仕方や学校再開時期にばらつきが出た。感染対策など教職員の業務負担はさらに増え、疲労感が強まった。

タブレット端末でオンライン授業の操作を練習する児童ら=6月、恩納村

 沖縄県内の感染状況は「世界最悪」レベルに達し、1月から10月末までのほとんどの期間で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが取られた。「重症化しにくい」と言われていた子どもへの感染拡大で教育現場は大混乱。保健所による濃厚接触者の特定やPCR検査が追い付かないことから、教職員が子どもたちのPCR検査の検体回収や運搬を担う「学校PCR検査」が5月末に開始された。感染リスクの高さなどから中止を求める声が強まり、9月には委託業務による運用になった。

 学校では20年同様に、分散登校や臨時休校などの措置が取られた。5月には部活動の原則中止が県から発表された。10月に再開が認められると運動場や音楽室などには子どもたちの笑顔が広がった。オンライン開催や中止に追い込まれていた大会、催しも次第に再開されていった。県高校総合文化祭や県中学校総合文化祭も入場者を制限して開催され、コロナ下でも個人で練習を重ね続けた成果を披露し、部活動ができる喜びをかみしめた。
 

県立学校では手指の消毒やマスク着用など感染対策を徹底=6月、本島

 12月末、感染「第6波」の懸念が高まりつつあり、大学受験や高校受験を控える受験生や保護者からは早くも不安の声が漏れ聞こえる。今後の感染状況に注視している。8月末に公表された21年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のアンケートでは、児童生徒から学校生活の不安やストレス、生活の乱れなどの相談が増えていることが分かっており、今後の感染状況にかかわらず、子どもたちの生活、学習支援の重要度が増している。

 (嘉数陽)