地域振興、渡具知氏は交通拠点を一体整備、岸本氏はネット販売支援推進<争点を洗う・名護市長選>下


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 名護市長選(1月16日告示、同23日投開票)では、地域振興の政策も関心を集める。2期目を目指す現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=と、新人の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=はそれぞれ、やんばるの中核都市として名護市のさらなる発展に向けた政策を掲げる。

 市内では1970年代から国道58号バイパスが整備され、為又、大北方面への商業施設進出と宅地開発が進む。郊外に発展が向かうと同時に、かつてにぎわった中心商店街は活気が失われ、その活性化が懸案となっている。

 市内商店街の空き店舗率は15.9%(2020年3月末現在、県調べ)で、前年比1.4ポイント悪化している。

 市全体では人口が増加している一方で、東海岸側の久志をはじめ、西側の屋我地、羽地も少子高齢化が進み、企業や主要施設が集中する中心部との格差が問題化している。観光客が市内に滞在することなく他町村に向かう「素通り観光」の対策も求められている。

 渡具知氏、岸本氏の政策で共通するのが名護漁港の再編と、県と連携した鉄軌道の促進だ。

 渡具知氏は「賑(にぎ)わいを取り戻す」として、那覇方面への高速船発着場や鉄軌道導入を見据えた相互交通ターミナルの整備を掲げる。岸本氏は「世界自然遺産への玄関口として名護漁港と名護十字路商店街、鉄軌道駅を含む交通拠点の一体的整備」を訴える。

 渡具知氏は、建設計画がある北部テーマパークなど観光地へのアクセス道路として名護東道路の延伸、市民の利便性向上のためのコミュニティーバス導入など交通対策を重視。「各地区の特色を生かした均衡ある発展」に向けて、羽地の駅、わんさか大浦パークの機能強化、愛楽園の将来構想を実現する学校誘致、久辺3区の多目的広場整備なども挙げる。

 岸本氏が政策の目玉に掲げるのが、特産品のネット販売を支援する専門課「ガジュマルネット」の新設だ。6次産業化を推進して製品化、流通ルート、販売戦略まで共同して取り組み、「市民の所得向上を図る」と力を込める。高速通信ネットワークが未整備な市周辺部でネット環境を早急に整備し、事業者の支援や起業の促進につなげるとしている。

('22名護市長選取材班)


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