地域の子ども支え44年…うるまの「ちねん小児科」歴史に幕 今後は学校健診「足が動く限り続ける」


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「ちねん小児科」を閉院する知念正雄院長(前列左から2人目)とスタッフ、地域の人々=28日、うるま市宮里

 【うるま】沖縄県うるま市宮里で1977年から44年にわたり地域の子どもたちを診察してきた「ちねん小児科」が閉院した。院長の知念正雄さん(84)が昨年、体調を崩して入院したことなどで引退を決めた。最終診療日の28日、地域の人々が同院をかかりつけにしていた子どもや孫を連れ、花束を持って駆けつけた。

 知念さんは県立中部病院小児科医長などを務め、77年に同市内に「知念小児科医院」を開業。2009年に現在の場所に移転した。県小児科医会長、県小児保健協会長、県「はしかゼロ」プロジェクト実行委員長などを務めた。19年に県功労者として表彰された。

 学会出席以外で休診したことはなかったが、昨年体調を崩し4日間入院した。知念さんは「新型コロナで思うような診療もできず、潮時だと思った」と話す。

 「子どもたちのため何ができるか常に考えてきた。子どもからさまざまなことを教わり、続けられた」と振り返る。今後は学校健診などを続ける。「足が動く限り小児科医であり続けたい」と力強く語った。

 孫たちと知念さんに花束を手渡した田場より子さん(51)=うるま市=は「娘や孫たちも、優しい知念先生の診察ですぐによくなった。先生やスタッフの皆さんに感謝している」と話した。

 (宮城隆尋、写真も)