冷静駆け引き大役果たす 大城
第6中継所へ向かってくるチームメートの背後から、10秒以内の差で2人が迫っているのが見える。3年ぶりの入賞(8位以内)を目標に掲げるトヨタ自動車九州の最終7区のアンカーとしてたすきを受けた大城義己はレースのイメージを固めた。「後ろに付かれることを想定して、足を残しながら最後に引き離そうと思った」
強い向かい風の中、競り合うランナーにあえて前を走らせたり、上り坂でスピードを上げたりしてライバルの体力を削っていく。後方から追い付かれて集団は一時4人となったが、ラスト500メートルで3人に絞られ、ここからスピード勝負に。一人は振り切ったが、SGホールディングスグループに競り負けて1秒差の8位でゴールした。
区間順位は11位。「8位以内でたすきをゴールに持って行くという役割は果たせたけど、区間8位以内の目標には届かなかった。ほっとした気持ちと悔しさがあった」と、達成感と反省を残した。
実業団1年目の23歳にして国内最高峰の駅伝でアンカーの大役を担った。これまで何度も上位入賞を飾ってきた強豪チームで充実した日々を過ごし、「自信を持って練習できていたから、楽しみでしかなかった」と頼もしい。冷静な駆け引きを通して「勝たないといけない場面で勝ちきるイメージが付けられた」と収穫を見詰める。大学まで大きな結果を残せなかった大城。1万メートルでの日本選手権出場などを目標に、実業団で飛躍を期す。
(長嶺真輝)