沖縄県民が一番好きなお酒は?「泡盛」の回答が激減…若年層へ普及が課題<復帰50年のウチナーンチュ像>2


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 「一番好きなお酒は何か」。琉球新報の2021年県民意識調査の生活意識に関する項目で、最も好きなお酒を聞いたところ、飲酒する人の中では「ビール」と答えた人が28・1%で1位となった。2位は11・8%の「泡盛」だが、16年調査から泡盛と答えた人は半分近くに激減、若年層や女性に絞れば支持はさらに下がる。うちなーぐちで「サキ」と呼ばれ、お酒の代名詞的存在だった泡盛の地位は揺らいでいる。

 ビールは01年の調査以来、常に3割前後の支持を集める、地元企業のオリオンビールの存在も影響してかトップを維持。年代別でみても、今回は20代と70代以上で同率1位であるものの、全年代で最も支持を集めた。

 対照的に、泡盛は前回まで20~24%の支持を集めてきたが、今回調査で一転した。調査結果をみると、性別では男性から22・5%の支持があるものの、女性は3・3%にとどまる。年代別では50代以下は10%を割り込み、20代では4・0%。若年層の支持は先細りの傾向だ。

 「低アルコールを好む若者の傾向が現れている」。琉球料理や泡盛の世界無形文化遺産登録に向けて取り組むユネスコ無形文化遺産登録推進委員会委員長の安田正昭琉球大名誉教授(77)は淡々と指摘する。琉球の歴史と共に歩んできた泡盛の知識を共に、適度な飲酒の楽しみ方を若者に伝えるなどして「泡盛に接する機会が重要だ」と訴える。

 泡盛が敬遠される背景にはアルコール度数の強さや独特の臭いなどが挙げられる。ただ、度数が高いなど同じ傾向にある酒も含まれる「洋酒・ワイン」は若年層ほど支持が高い。飲みやすいハイボールを入り口にしたウイスキー人気などがあるとみられる。

 泡盛もカクテルにするなど若者向けを意識した飲み方が提案されている。だが、泡盛マイスター協会の新垣勝信名誉会長(73)は「(カクテルも)浸透していない」と断言する。そのため“泡盛離れ”が指摘される女性や若者をターゲットにした企画に注力する必要性を示した。

 600年の歴史があるとされ、県内で多くの酒造所がある泡盛。新時代のウチナーンチュにどう受け入れられるか。関係者の模索が続く。
 (仲村良太)