顔を見て、生まれる記事がある 砂川博範(中部報道グループ)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 砂川博範(中部支社報道部)

 地方部記者として働くようになってから心掛けてきたことがある。それはなるべく電話取材ではなく、現場に足を運ぶということだ。効率性だけを考えると、中には電話で済ませられる取材もあるだろう。だが、短時間でも「相手に顔を見せる」ことは大事な行為だと思う。視覚から入る情報のほうが、言葉より重要な場合も多い。

 そう考えるようになってからは、可能な限り取材相手に会いに行った。しかし新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めると、「リモートワーク」が推奨されるようになった。その時は取材をしているとの実感があまり得られなかった。

 このコラムが掲載される面を「市町村面」と呼ぶ。県内41市町村で催されたイベントが載っている。政治問題や事件事故を扱う「総合面」「社会面」と比べると目立たないかもしれないが、ぼくはこの「市町村面」が地元紙を支える「要」だと考える。

 ページをめくると、他の面よりも表情が豊かな人が多いことに気付く。だいたいみんな笑っている。この表情は電話取材からは生まれない。現場で記者と対面交流することで、ようやく生まれる表情だ。その「一瞬」を切り取ることが記者の役目だと思う。

(北谷町、北中城村、中城村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。