復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉円切り上げの損失総額は1億3千万ドル―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 

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 復帰の年となる1972年の1月5日の琉球新報1面トップ記事は、「損失総額は1億3千万ドル/転業に14億円必要/通貨対策 15億円の緊急資金も」との見出しで、円の切り上げに伴って沖縄が受ける損失について琉球政府がまとめた推計を紹介している。上京中の屋良朝苗主席が政府に対して通貨の早期切り替えを要求する際の資料として作成した。トップのそばには関連記事として「円切り替えで折衝を/主席が要請/軍保有ドルに問題」と、主席の東京要請記事も掲載している。

 伊勢神宮を参拝した佐藤栄作首相の新年の会見で、日米首脳会談に臨む考えを表明する中で沖縄の返還時期について「メドはつかない」と見通しは言えないとの姿勢を示していることを掲載している。関連して佐藤氏の動向も含め、自民党の次期総裁選への見通しも伝えた。

 5日の初閣議で決定する新年度予算の大蔵省原案に関連して、沖縄関係予算が2千億円以上になるとの見通しを伝えている。

 

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 琉球新報デジタルは復帰50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。