【深掘り】沖縄「尋常でない感染速度」知事と政府に危機感 若年層で既に流行


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記者の質問に答える玉城デニー知事=4日、沖縄県庁(代表撮影)

 玉城デニー知事は、米軍基地に由来する新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染拡大などにより、沖縄は感染の「第6波」に入ったとの見方を示した。新規感染者数の増加ペースは急速で、県民生活や経済活動の制限を伴う「まん延防止等重点措置」(重点措置)への移行が濃厚となっている。昨年4月からの「第5波」では重点措置に適用された後、さらに強い私権制限を伴う緊急事態宣言に突入し、宣言は約4カ月間に及んだ。感染力が強いオミクロン株の広がりを限定的に抑え込めるのか、全国最悪の感染状況に政府も危機感を強めている。

 今週に入ってからの感染者数は4日時点で計406人となり、前週1週間の計228人を超えた。週が始まってまだ3日目だが、前週比で1・78倍の高い水準で推移する。玉城知事は「倍加するスピードと感染力の広がり方が尋常ではない」と危機感を募らせた。
 第5波でもきっかけの一つとなった20~30代の若い世代の流行も既に広まっている。家族や親族が集まった年末年始のイベントを通じ、重症化リスクの高い高齢世代の感染につながっていれば、今後、医療提供体制を圧迫していく恐れがある。

 県は仕事始めの4日に急きょ対策本部会議を開き、重点措置移行を視野に警戒レベルを2へ引き上げた。玉城知事は官邸側からの電話協議に応じ、松野博一官房長官に重点措置移行を検討する可能性があると伝えた。

 4日に重点措置を要請できなかった理由について玉城知事は、休業要請に伴う協力金の準備や政府の新型コロナ分科会開催の動向などを踏まえて準備を進めていると説明した。早急な重点措置への移行に向けて、「(国と県の)調整がどれだけ迅速に整えられるかということが一番肝心な部分だ」と述べた。

 一方、米軍由来の感染拡大の再発防止に向け、政府が米側に申し入れた内容を松野官房長官から説明を受けたとも明かした。玉城知事は「沖縄の厳しい状況について、国が十分認識をしていることはしっかり感じられた。これからも県内の米軍の状況について注視してもらえると思う」との受け止めを示した。

 (梅田正覚)