県議会与党会派「おきなわ南風」発足 知事選へ結束、懐疑論も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県議会与党会派「おきなわ」と「南風(ぱいかじ)」の合流による「おきなわ南風」の発足で、昨年から続いた与党会派の再編が紆余(うよ)曲折を経て完了した。県議会構成が与党と野党・中立で拮抗(きっこう)する中、今年9月に任期を迎える玉城デニー知事の再選を目指すため持ち上がった再編構想。他与党会派と距離のあったおきなわの平良昭一氏、新垣光栄氏の与党への“固定化”を狙った再編主導派の計画が達成された格好だ。

 与党内には「オール沖縄」の体制強化につながるとの評価と共に、元々おきなわに所属し、知事批判を強める県議会議長の赤嶺昇氏と平良、新垣氏の関係の深さから懐疑的な見方もある。知事選に向け与党が結束できるか、今後が注視される。
 

 新会派結成を巡っては、昨年の再編でおきなわ2氏の受け皿として結成された「南風」が、おきなわに断続的に合流を持ち掛けていた。

 周辺との調整を理由におきなわ側が早期合流を渋る中、昨年9月に赤嶺氏がおきなわから離脱。業を煮やした南風が年内を期限と設定し、議論の加速化を迫り合流にこぎ着けた。

 新会派の会派長に就いた平良氏は「知事選が迫る中、今回の合流は私たちがきちんと与党であると示すチャンスでもある」と強調する。

 一方で、昨年の再編議論の中では赤嶺氏と行動を共にしていた2氏への不信感もあり、大会派構想がまとまらなかった。そのため知事選に向けて“共同歩調”を取れるかは不透明さも残る。

 再編に距離を置いていた与党幹部の一人は「一つにまとまる方向になるのは願ってもないことだが、今までの経緯もある。現状では手放しで歓迎とはならない」と冷静に受け止める。その上で「(旧おきなわ2氏が)赤嶺氏やその周辺との関わりをどうするのか。今後の行動を見守るしかない」と語った。

 (大嶺雅俊)