県勢ガードコンビ神里と喜久山 Bリーグ仙台で切磋琢磨 共通目標はB1昇格


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練習でマッチアップする喜久山アレックス(左)と神里和=12月15日、仙台市のハレオドーム(長嶺真輝撮影)

 プロバスケットボールBリーグ2部東地区の仙台89ERSで、同級生の県勢ガードコンビが切磋琢磨(せっさたくま)しながら力を磨いている。B1島根から移籍した神里和(26)=小禄高―白鴎大出=と、今季途中に契約を勝ち取った喜久山アレックス(25)=美来工科高―九州産業大出=だ。対照的なキャリアを歩んできた2人だが、共通目標はB1昇格。それぞれの持ち味を生かし、チームに貢献する。

 PGの神里はプロデビュー3季目。170センチと小柄だが、「以前より体が一回り大きくなって、やっとプロの世界で戦えるようになってきた。(外国籍選手と)英語でのコミュニケーションも取れてきている」と成長を実感している。

 全国にも出場した高校時代、世代別日本代表に選ばれたほどの優れたハンドリングと高いシュート力は健在だ。昨年12月から主に先発を務め、3点弾の成功率は4割近い。「シュートには自信がある。調子が良ければ打つし、ディフェンスが寄ってくればパスをさばく」と得点力を武器にチームに流れを引き寄せる。

 一方、180センチのSG・PGである喜久山は苦労人だ。高校での全国経験はなく、九州産業大を卒業後はB2愛媛、B3鹿児島で通訳を兼務しながら練習生や選手として地道にキャリアを積んできた。今季も開幕時は通訳兼練習生だったが、日々のアピールが実り、昨年11月に選手契約を勝ち取った。「チームに求められることをやり続けたい」と気を引き締める。

 持ち味はゴール下に飛び込む鋭いドライブだ。「上のカテゴリに行くに連れ、自分の課題も見えてきた。独特なリズムのドリブルも含め、自分らしさを出していきたい」と挑戦者の姿勢でプレー時間をつかみにいく。

 高校の頃に対戦経験もある2人。神里を「自分の世代では県内で力が抜けていて、憧れの選手だった」と評する喜久山は「一緒にプレーできて最高。自分から助言を求めることもある」と自身に足りない部分を積極的に吸収する。神里も「切磋琢磨してやりたい」と刺激を受ける。

仙台89ERSで活躍する県出身の(左から)神里和、金城茂之アシスタントコーチ、喜久山アレックス

 チームは4日現在、18勝10敗の東地区3位で、プレーオフ圏内に着ける。県勢の先輩である金城茂之アシスタントコーチ(37)は、神里に対し「物事を俯瞰(ふかん)して見られる選手。冷静な判断力を伸ばしていってほしい」と司令塔としての役割を期待する。本格的なプロキャリアを歩み始めたばかりの喜久山については「どんな選手になりたいかを明確にすればチャンスはつかめる。失敗を恐れず、悔いのない選手生活にしてほしい」とエールを送った。

(長嶺真輝)