名護市長選コロナで制限 前哨戦、集会中止も 両陣営戦略練り直しへ


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名護市役所

 新型コロナウイルスの感染急拡大が名護市長選の前哨戦に影響を与えている。立候補を表明している現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=と新人の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=の両陣営は、集会の中止や縮小、地域回りなどの活動制限を余儀なくされ、選挙戦前の支持拡大に急ブレーキが掛かった。両陣営とも戦略の練り直しを急いでいる。

 名護市では年明けから5日までに117人の新型コロナの新規感染者が確認された。渡具知氏は4日に会見を開いて感染防止対策の徹底を呼び掛け、感染拡大への警戒感が市内に広がる。

 両陣営とも昨年末までは各地で小規模集会の開催や地域回りを精力的に進め、支持固めや浮動層への知名度浸透を図ってきた。ただ年末年始からの感染急拡大により、三密の状況を作り出さないよう迫られている。

 渡具知陣営は12日に予定していた総決起大会をオンライン開催に切り替える方針を固めた。岸本氏を支援する「オール沖縄会議」も8日に市内で開催予定だった県民集会の中止を発表。告示前に結束を固め、支持者らにアピールする機会を奪われた形だ。

 大物政治家らの「名護入り」も回避する動きが出てきた。渡具知氏の応援で、9日予定の河野太郎自民党広報本部長による演説会は、感染拡大を理由に中止が決定。陣営関係者によると、同党幹部などの来県も取りやめの可能性が高まっているという。

 一方、岸本陣営も、玉城デニー知事が年明けから名護での応援を本格化させる予定だったが、感染対策など公務の都合により、大きく制限される見通しだ。関係者によると推薦政党に党首級の応援も要請しているが、厳しい状況だという。

 両陣営とも有権者との接触を極力減らすため、街頭でのアピールなどを中心とした「空中戦」にシフトする方針だ。

 渡具知陣営関係者は「じかに訴えられないのは厳しい。ただ渡具知氏はこれまでこまめに地域を回ってきた。街頭でさらに訴えを浸透させたい」と強調した。

 岸本陣営関係者は「仕方はないが知名度に劣る新人候補にとっては痛い。ただ街頭での訴えが中心でも工夫次第で訴えを広げることはできる」と力を込めた。 (’22名護市長選取材班)